時を越え

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 ここは古き良き街並みの、閑静な住宅街。最寄りの駅からはほど遠く、近辺にマンションやビルなどは建っていない。  田舎、とまではいかないが、年々子供の数よりも、お年寄りの方が目立ってきた。  健康で足腰の丈夫な老人は、天寿を全うするその時まで、自宅で過ごす者も多くいる。妻や夫に先立たれた人間も、この小さな街では近所に暮らす皆が家族、なんて場合も少なくはない。  そんな街の隅っこに、朝焼け公園という場所がある。  砂場がひとつ、すべり台がひとつ、ベンチがふたつの、それはそれは小さな公園。  そんな公園のベンチでひとりきり、よく座っている女性がいた。90の歳をとうに過ぎたであろう彼女が現れるのは、決まって黄昏時だった。
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