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用具室の扉
・・・ガチャ
「えっ?」
薄暗かった体育倉庫の中が真っ暗になった。
「すいません!中にいます!」
用務員さんが誰もいないと思って扉を閉めたのかもしれない。一緒に倉庫にいたミナミが大きめの声で言った。
「ごめん!・・・あれ?開かない?!」
一緒に体育館に来たタケシの声だ。扉の外から声がする。
「タケシ?ドアを閉めたのか?」
オレは暗がりの中を注意しながら入り口のドアの方へ移動する。
「アキラくん、ちょっと待って、・・・怖い」
ごめんと謝って、歩くのをやめるとミナミが近くによってきた。ドアの下の方の通気口からわずかに光がもれている。
「タケシ!開かないってどういうこと?」
「なんか、鍵がかかっちゃったみたいだな・・・。この鍵かな、すごい錆びてる」
ドアは鉄製の引き戸で、取手の下に鍵が付いている。
オレが生まれるより前からある古い体育館。鍵が壊れたのだろうか。
「用務員さん呼んできて開けてもらおうよ。」
「それがさ、さっきトイレに行ったときにちょうど話しかけられたんだけど、親戚が危篤だって急いで出かけて行ったんだ、用務員さん。戻って来るのは何時になるかわからないから戸締まりだけして帰っていいって・・・」
困ったことになった。ミナミと二人で用具室に閉じ込められてしまったようだ。
「ねぇ、この部屋って電気ないの?」
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