運命のいたずら

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 「はぁ?!未来人だとぉ?!」  修吾は久と令亜に練習場から離れた場所へ連れて行かれ、令嬢レイにあった事を聞かされた。 「そうよ。だからこの時代の女性よりは博識もあるし…腕っ節も強いのよ。」 令亜は溜息を吐いて未来へ帰りたいとボヤく。 「レイ…ん?令亜?てかさお前名前何?本当の名前は?」 「筒井令亜。本当の年齢は20歳。久にも話したけど…。」 「なぁ、筒井って…お前が未来人なら筒井家の子孫なのか?」 修吾は久と同じことを聞き始めた。 「…久と同じ事聞かないでよ。わかんない。知らないわ。」 「そうか…とりあえずどっちで呼べばいいんだよ?令亜?レイお嬢様?」 修吾は選択しろと令亜に委ねる。 「…令亜でいいわよ。両親とか屋敷の人間の前では…レイって呼ばないといけないだろうけど。」 「兎に角、修吾黙っていてくれよ。」 久は頭がおかしくなったと思われるからと懇願した。 「言う訳ないだろ!そもそもこんな話し聞かれたり話したら捕まるぞ!頭キテレツなヤバい奴等だって!」 修吾は頭を抱える。 「…私は多分これが…今体験しているのは実は私の前世で…やり直したいって気持ちが強かったから死にかかったあの時に前世に戻ってしまったのかもと思ってる。」 「お前、何をそんなにやり直したかったんだよ?」 修吾は令亜の話しを聞いてやるからと言い、話せばスッキリするかもしれないからと話す様に令亜の頭を撫でて促し始めた。 「修吾…思っていたよりいい奴ね。口はめっぽう悪いけど。」 「めっぽう悪いって…本当にレイお嬢様じゃないな、コイツ。」 「コイツじゃない。令亜よ。」 「久、レイお嬢様と顔は同じなのに何なんだ?この気の強い女は?未来人はこんなんばっかか?未来の男たちは何しているんだ?」 修吾は男たちの威厳が無いのか?へ垂れた奴ばかりが増えているのか?と未来を憂いた。  そして令亜は修吾に促されたのもあり、未来での自分の話をし始めた。 令亜は自分が選んだポイント、ポイントの人生の選択をどうしても受け入れる事が出来ず全て人のせいにしていた事、与えられた環境で目一杯楽しみながら頑張らなかった自分が凄く残念で悲しい事、人に悪口を言われても言い返せずに黙り込んでいた事など、16歳から死んだと思われる20歳までとても無駄な生き方をしてしまったと二人に話した。 「何か150年経っても日本って国は変わっていないな。根本的に。」 久は令亜の話に日本人の根本的な嫌な部分は後世に続いているんだなと溜息を吐く。 「でもさ、令亜見てる限りでは女子にとっては今よりも良くなって居るだろ?発言が自由だし。今の時代なんか…生意気な口をきくだけで…だもんな。令亜は完全アウトだな。」 修吾はまた鼻で笑う。 「修吾っていい奴かと思えば鼻につくような態度して…アンタ、ツンデレ男子ね。未来ならゲキモテよ。」 「は?ツンデレ?何だそれ?」 「未来の言葉よ。ツンツンした態度かと思えば、急にデレて甘々で…ってやつ!あぁ、私ここで思いっきり生きればいいのかな?丁度人生積んだ時と同じ16歳だし…」 令亜は頬杖をついて一点を見つめる。 「令亜さ、とりあえず俺たち以外に本当にキテレツな話するなよ。」 修吾が心配そうに令亜の顔を見て注意し出し、毎日令亜を見張らなくちゃ命が危険に晒されるかもしれないと言い出した。 「…しないけど…医者になりたい…でも小学校がやっと出来たのが明治時代よね…廃藩置県は来年か…」 「お前…なぜ政府で慎重に話している話を…そうか!未来人だから知っているんだ!!」 修吾は令亜の手を取り、その後はどんな時代になるんだと聞き始めたが、久が遮った。 「歴史を変えるな。令亜たちの時代が良くなっているのは、その…これから来る出来事を歴史通りにしたらなる事だよな。下手に何かしたら歴史が変わってしまう。それはダメだ、修吾。」 久は冷静に話し、修吾は残念だと呟く。 「うん、そうね。久の言う通りよ。これから来る時代は変えてはだめ。てか、アンタ達二人ともよく私の話を素直に聞き入れるわよね。最初から…普通おかしなヤツがレイさんの人生を乗っ取ったとか言って騒ぐわよね。」 令亜は凄いわねと言いながら久と修吾の顔を感心しながら眺める。 「多分、令亜が魅力的な女性だからじゃないの?おかしなことはおかしいって声を上げるし、怒る時は怒るし、相手が無礼過ぎると殴るし…。」 「イヤ…久、それ何か違うと思う…あと殴りそうなときは久が止めてよ。」 「はは。気を付けるよ。筒井家のお嬢様がお転婆様って噂が広がると爺さんに顔向け出来ないから。」 「いや…既に無理だろ?令亜になっている時点でお転婆が過ぎるだろ?」 「いやレイお嬢様もまぁまぁワガママだったぞ。修吾はあんまり接したこと無いからわからないだろうけど。」 久が言うと修吾はまぁその通りだと笑う。 「私が消えた後にレイさん…大変ね。お転婆伝説だけ残して居なくなるんだもの。」 「迷惑この上無いな。」 修吾は令亜の頭をまたぽんぽんとして笑うので令亜は何となくキュンとしてしまった。 (久遠が居るんだから…)と自分自身に言い聞かすが、修吾に何となく惹かれていた。 そして三人は話し終え、令亜は屋敷へ戻った。
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