コパカバーナ

3/9
7人が本棚に入れています
本棚に追加
/9ページ
ドアが少し開いて キラキラする瞳がのぞいた! 「ユリア?」 「…」 暗がりで 彼女の表情までは判らない。 「もう閉店なの、ゴメンナサイ」 トーンの静かな、少しハスキーな声 ユリアの声だった。 俺は情けないことに 泣いていた。 「ユリア!俺だよ、小宮山だ」 「…」 「少しだけ話せないか?俺は 俺は、昔のことは……… もういいんだ」 暫くして、ドアの隙間から 爪を長く伸ばした 懐かしいユリアの指先が見えた。 「この電話に…」 赤い地に黒い文字で 店の電話番号があった。 カードを渡すと ドアは静かに閉まった。
/9ページ

最初のコメントを投稿しよう!