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ドアが少し開いて
キラキラする瞳がのぞいた!
「ユリア?」
「…」
暗がりで
彼女の表情までは判らない。
「もう閉店なの、ゴメンナサイ」
トーンの静かな、少しハスキーな声
ユリアの声だった。
俺は情けないことに
泣いていた。
「ユリア!俺だよ、小宮山だ」
「…」
「少しだけ話せないか?俺は
俺は、昔のことは………
もういいんだ」
暫くして、ドアの隙間から
爪を長く伸ばした
懐かしいユリアの指先が見えた。
「この電話に…」
赤い地に黒い文字で
店の電話番号があった。
カードを渡すと
ドアは静かに閉まった。
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