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黒と銀を基調にした店内は
意外にシックで落ち着いている。
カウンターに溢れるほど
白いカサブランカが生けられ
濃厚な香りが漂っている。
黒いミニドレスのユリアは
奇跡としか言いようがないほど若々しく
昔のままだった。
水商売の女らしく足を組んだりせず
ピンヒールの足を揃えて座っているのも
昔のまま。
「小宮山さん、わたし…
………
ごめんなさい。
今更だけど
ずっと謝りたかった。
そして
お礼も言いたかったわ
私、あのお金のおかげで
命が助かったの」
優しい可愛いユリアの声
変らない笑顔。
俺はただ会えて
嬉しいばかりで
恨み言を言ったり
みっともないことをしたくもなかった。
「もういいよ、済んだことだし。
まあ…俺もその後
ずいぶん苦労したけど
結局あれはアブク銭だったのさ
ユリアに役立ったんなら
もう、いいよ」
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