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水割りを2杯づつ
乾杯して飲み終わるころ
会話は途切れがちになった。
俺は、胸につかえていたことを
思い切って切り出した。
「なあ、ユリア
一回きりって約束だったけど
また、会って話すことはできないかな?」
「………」
「ごめん、ヘンなこと言って
これは夢だもんな
俺は幻を見てるんだもんな」
ユリアは、じっと俺を見た。
瞳がうるんでる。
俺は、最後までユリアの前ではカッコをつけたかった。
カウンタの椅子から降りると
ドアに向かって歩いた。
ユリアがドアまで見送りに来た。
「さよなら」
「さよなら、元気でね」
「ユリアもな」
コパカバーナのネオンの下
ドアからちょっとだけ顔をのぞかせた
ユリアの可愛い笑顔を
俺は一度だけ、振り返った。
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