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「ねえ、ママ、これでよかったの?」
ドアを閉め、鍵をかけ
ネオンの灯を消して
ユリアの娘はカウンタに戻ってきた。
カウンタには
控室から様子を見て居たユリアが出てきて
優しい顔で頷いていた。
「ありがとう、上出来よ」
貫禄のある低い声だった。
白髪交じりのショートヘアに
黒いストンとしたドレスをまとった
中年の女が
娘とそっくりの口元と
目じりにしわを寄せてにこりと笑った。
「あんたのおかげで
小宮山さんにお礼を言うことができた
謝ることもできた、
そして一刻の夢もあげられたわ」
「そうかなぁ
なんか私、後味悪いよ」
「いいのよ、これで」
ユリアは骨ばった指にタバコをはさんで
ふうっと煙を吐いた。
「いい男だね」
「でしょ?」
母娘は、よく似た目をして笑いあった。おわり
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