6:争えない血

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 じゃああの待ち受けも、単なる家族愛なのか。  耳の奥ではまだ不安定なさざ波が聞こえる。でも込み上げてくるのは安心感だった。張り詰めていた空気があっという間に体から抜けていく。 「勘違いされていることを承知の上で、わざとあんな言い方をした。春樹君の本音が聞きたくて」 「俺を……試したんですか」 「ああ。すまなかった。でもよかった。春樹君が、あんな不躾な質問にも本心で答えてくれる人間で……俺みたいな人間じゃなくて」 「え?」 「萌香の目は確かだと言ったんだ」  もう一度深く、朋紀さんが頭を下げた。 「これからも……萌香のこと、末永くよろしくお願いします」 「あっ……は、はいっ! 喜んでっ!」  思いがけない言葉に、俺も頭を下げ返す。  認めてもらえた。萌香との前向きな未来が見えた。さっきから目まぐるしい感情の入れ替わりばかりで、俺はいよいよ落ち着かなくなる。  そのちょうどいいタイミングで、萌香が風呂から上がってきた。  今度は朋紀さんが風呂に向かう。  束の間の二人の時間。俺達は隣り合って身を寄せ合う。萌香が俺に重心を寄せてきた。シャンプーのいい匂いが、俺の鼻を心地よく染める。 「……トモ兄が戻ってくるまで、こうしてていい?」 「もちろん」  黒髪から流れてくる、清楚な香り。俺はその柔らかい感触に指を通し、何度も()く。
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