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受胎告知
痛い、脳みそが凄まじく。生暖かい汁が顔全体を覆っているので散弾銃で顔を吹き飛ばされたに違いない。人が芸術を嗜んでいる時になんと不躾な連中だろう。逃げ惑う人々の悲鳴や銃声、…目覚めなければよかったと心底思う。
「我々は『王国打倒委員会』会員として王国の芸術を破壊する!」などとネジの外れたセリフが聞こえたかと思えばいきなり殺されるなど誰が思うものか。
「おい、生きてるやつが居ないか確認しろ。」
騒がしい銃声はようやく止んだようだ。こっそりと目を開けると、可哀想に殺された老人と目が合った。その手には『世界の名画展覧会!聖なる―』のパンフレットが握られている。
「見つけたらどうする?」
「馬鹿!殺すに決まってんだろ」
遠ざかった声にようやく体を起こせそうだ、ソレはゆっくりと起き上がる。その老人のパンフレットをそっと貰って、本日の目的に沿って歩き出した。目玉に自分の血液が入って痛い。
「おい!まだここに生きてるヤツいるぞ」
勘弁してくれ、そう思ったが彼らはまたもその銃口を背中に向けて、ズドンと打ち込んだ。また腸がビチビチと床を汚す。ズルズルと穴から中身が出てきて大変だ。ただでさえ穴という穴から血が吹き出しているというのに腹まで穴が空いては収拾がつかない。
「お、おい…こいつなんで…」
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