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「海~おかえりっ」
車から飛び出してきた陸くんは、私をぎゅうぎゅうと
「お前、どこにいたんだよ。何やってんだよ…ったく…ちょっとはデカくなったか?うん?」
何かの技をかけるかのように締め付けた。
「ギブ…陸くん…」
「ぶっはっ…ただのハグ。技じゃねぇよ。海、わかるか?ハグ」
「…空…陸くんが私を小馬鹿にした口調だ…」
「どっちが年上かわからないよな」
「空も特に私の味方でない口調だ…」
「まあ…陸の気持ちもわかるからな」
「…」
「陸、遊歩道」
「うちに来ないのか?」
「あとで行く」
「ならいい。父さんも母さんもばあちゃんも海を待ってるから、来るならいいんだ…うん。遊歩道まで送る」
遊歩道の空の家から遠いところへ私たちを降ろした陸くんは
「こっちからうちまで歩けばいいだろ?じゃあ、あとでな」
と手を振って帰って行った。小学生特有の声の大きさではなかったのか…結構声大きいな…そう思った時
「小春凪だな」
私と指を絡めた空が静かな海面を見て言った。
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