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都市伝説
「し、失礼しました」
「いえ、私も驚いたわ」
「では、アイリス様が言っていた修道女というのは・・・」
「考えたくないけど、もしかすると誘拐犯かもしれないわね」
「・・・・・・」
「ねえ、サラ。魔眼って聞いたことある?」
「魔眼?いえ、ありません・・・魔力がある眼・・・ということでしょうか?」
「分からないけど、攫われた時にファーゴ王子が魔眼持ちだと知ったのよ」
「え?!もしかして、アイリス様は魔眼で何かされてしまったのですか?」
「いえ・・・されそうになったけど、『識る力』で防いでしまったみたいなのよ。そしたら逆に気に入られてしまったというか・・・魔眼と今回の誘拐事件は、何か関係しているのかしら・・・」
「どうでしょうか?私には分かりかねますが・・・」
「サラ、申し訳ないけれどオーベル様を呼んできてもらえるかしら?急ぎではないのだけれど・・・」
「承知致しました」
*****
サラが部屋から出て行ってから、時間を置かずにオーベル様はやって来た。
「急に呼び出して、ごめんなさい」
「いえ、大丈夫です。この時間は魔術師団の練習時間ですから、エレナに任せてきましたよ」
聖女だったエレナ様は、脅されてたとはいえ他国のスパイとして活動していた為、身分を平民に落とし、特別顧問として魔術師団の練習に来てもらっていた。ライナス様は自分も同罪だと言って身分を平民に落とし、今はエレナ様と2人、街に住んで雑貨屋を営んでいる。
「全く・・・ライナスが、きっぱり辞めてしまったので、色々と大変ですよ」
ライナス様とオーベル様は同期で共に団長だったが、騎士団の仕事は後任が決まるまで、全てオーベル様が請け負うことになったと聞いている。
「早速だけどオーベル様、『魔眼』って聞いたことあるかしら?」
私はリン王女から手紙が届いたことや、ファーゴ王子が攫われたことを簡潔に話して聞かせた。
「『魔眼』ですか・・・これは、ここだけの話にして欲しいのですが、魔術具無しに魔術を使用することが出来る『眼』だと聞いたことがあります。何でもトラスト国王家の血筋に伝わる秘伝の力だとか・・・」
「秘伝の力・・・『識る力』に似ているのね」
「おそらく『魔眼』は、想像以上に厄介なものでしょう。自分の力で制御出来るものでは無いみたいですし、今までに『予言の魔眼』や『消滅の魔眼』等の噂があります・・・それに、魔眼の噂を流した者は数日後に消されるとか・・・そんな都市伝説もありますね」
「都市伝説ね・・・」
都市伝説という言葉は今の世界にはない。オーベル様も私同様、前世の記憶持ちだ。前世では、いとこ同士だったが、今は『友人』みたいな関係が続いている。
「『予言の魔眼』はともかく『消滅の魔眼』は、怖いわね。見るだけで近くにいる者を消滅させてしまうのかしら・・・」
「それについては、魔術史にも記録が無いことから詳細は不明となっております。でも、おそらくアイリス様には効かないでしょう」
「・・・そうかもしれないわね。それより、私が気になっているのは、助けに来てくれた『修道女』のことなんだけど・・・」
「私も気になったので、帰ってきてから色々と調べてみたんです」
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