地下通路

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地下通路

 地下通路へは、井戸のロープを使って降りていった。片側に重りがついていたので、片方のロープに足を引っ掛けると、思ったよりも簡単に下へ降りることが出来た。 (正直、こんなこともあろうかと、スカートの下にショートパンツを履いてきてよかったわ) 「インテクト!!」  オーベル様の光魔法で、周囲が明るくなると地下通路と言うよりは洞窟のような場所だということが分かった。 「きゃっ!!」 「アイリス様、大丈夫ですか?」  コウモリのような動物が目の前を横切り、飛び去っていく。 「大丈夫よ‥‥‥。ねぇ、ミシェル。教会へはどれくらいあるのかしら?」 「地上で城から教会まで歩くと25分かかるので、30分前後で着くかと思われます」  目的地まで30分かかると聞いて、歩く前から疲れた気分になってしまう‥‥‥。今からこれでは、先が思いやられる。  地面のヌメリに気を取られながらも、オーベル様が持っていた魔術具の明かりを頼りに、私達は進んでいった。  しばらく歩いていると、下水が通っている地下通路らしき場所へ出る。周囲の壁や地面が舗装されているため、今までの通路よりは歩きやすかった。 「この道を真っ直ぐに行けば、教会の井戸の下に辿り着くはずです」  私達3人は黙々と歩き続け、最後に再び狭い通路を通り抜けて、教会の井戸の下に辿り着いた‥‥‥。井戸の下に掛かっている縄ばしごを登って、地下通路から地上へ出たのだった。 *****  オーベル様の手を借りて、井戸から這い出るように外へ出ると、草むらに降り立った‥‥‥。すると、何処からか聞いたことのある声が聞こえた。 「‥‥‥久しぶりだな、アイリス嬢。いや、『アイリス妃』と言った方がいいのか?」 「あなたは‥‥‥。まさかイル王?!」  後ろを振り返ると、そこには何故かアーリヤ国のイル王がいた。草むらの中に佇んでいる彼は、殺気を放ちながら周囲への警戒を張り巡らせているように見えた。  教会らしき裏庭で、どういう訳か私達は対峙するように立っていた。
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