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予言
「イル王は、他に何か言っていたかい?」
「そうですね。探しものは案外近くにあるとか何とか‥‥‥。そう言っていた気がしますわ」
「‥‥‥アイリス、もしかして誘拐犯はアイリスの近くにいるんじゃないかな?」
「近く? 知り合いってことでしょうか?」
「そうとは限らないと思うけど‥‥‥。カルム国内にいる‥‥‥。とかかな?」
「そうなんでしょうか?」
「なんというか、イル王の言った予言めいた言葉はだいたい当たるんだ‥‥‥。魔術とは、ちょっと違うみたいなんだけど」
「予言なんて‥‥‥。何だか、神の使いみたいですね」
「全くだ。アイリス、よく無事に戻ってきてくれた。もう、どこへも行かないと言ってくれ」
「大丈夫です‥‥‥。もう、どこへも行きませんわ」
エリオット様を宥めるように言ってみたものの、あまり聞いてはいないようだった。
エリオット様は、私の髪を撫でるとキスをしてきた。周囲にいた部下達は、気を利かせたのか、いつの間にかいなくなっている。部屋には私達2人以外、誰もいなかった。
「エリオット様、仕事中ですよね?」
エリオット様のキスは止まらずに、腰を抱き寄せられ、繰り返しキスをされた。
「大丈夫。今は休憩中だから‥‥‥」
「きゅ、休憩中?!」
止まらないキスに、いっぱいいっぱいになってしまった私は、上手く息継ぎが出来ずに、エリオット様の肩を押した。
「ふふっ‥‥‥。今日は、これくらいで勘弁してあげよう」
エリオット様は、茹でダコみたいに赤くなった私を見て笑うと額にキスをした。
「もう!! 真面目にお仕事してくださいませ!!」
私は嬉しかったのに、怒ってしまった。けれどエリオット様は、怒っている私を見て、ただただ笑っていたのだった。
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