ペンダント

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ペンダント

 しばらく待っていると、サラはオーベル様を連れて部屋へ戻って来た‥‥‥。サラはオーベル様を応接室へ案内すると、私の様子を伺いつつも、紅茶を淹れていた。 「アイリス様、どうかなさいましたか?」  私は挨拶もそこそこに、オルゴール箱を応接室のテーブルの上に置いた。 「オーベル様、帰って来たばかりだというのに、すぐに呼び出したりして、ごめんなさい。実は、オルゴールの件なのです」 「構いませんよ。オルゴールが、どうかしましたか?」  オーベル様は、そう言いながらもオルゴールの箱を自分の方へ引き寄せて、蓋を開けていた‥‥‥。蓋が開いたことに驚きつつも、箱の中にあるペンダントを調べている。 「これは‥‥‥。どこに?」 「オルゴールの中に入っていました。底に魔石が入っていて、それを取り除く事で、蓋が開けられる様な仕組みになっていたみたいです」  オーベル様は、オルゴールの底を確認してから、再びペンダントを見ていた。 「‥‥‥これは、おそらく『発信器機能付き』のペンダントでしょう。ファーゴ王子が見つかるのを恐れて、あの場所に放置したのかもしれません」 「そのペンダントなのだけれど‥‥‥。さっき緑の光が収束して、北塔に向かって光を放っているのを見たわ。北塔に何かあるのかしら?」 「どうでしょう? あまり考えたくはありませんが、ファーゴ王子がまだ生きていて、北塔の部屋に閉じ込められているのかもしれませんね」 「なぜ‥‥‥。まさか?!」  私はトラスト国で会ったイル王の、予言めいた言葉を思い出していた。  ペンダントの光が、持ち主を示しているならば、ファーゴ王子は北塔にいるに違いない。 「誘拐犯がカルム国の暗部の人間という話は、もしかすると本当なのかもしれませんね‥‥‥。暗部なら、あの部屋に拷問器具が置かれているのを、知っていますから‥‥‥」 「この件は、エリオット様に‥‥‥」 「すぐに確認致しましょう」  オーベル様は立ち上がり、騎士の礼をすると、エリオット様へ報告するために、部屋を出ていったのだった。
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