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思ってもみなかった言葉に、俺の思考回路がフリーズした。
「えっ?」
「覚えていないか。じゃあ、旧姓の𠮷田一生ならどう?」
医師の顔を目をこらして見ていたら、思い出した。中学で俺たちがいじめていたやつだ。中三のとき、よその町に引っ越して行った。それ以来会っていない。
「どうやら思い出してくれたようだね。君たちのせいで両親は離婚して、僕は母親に引き取られ、姓も母親の姓になったんだ」
突然の告白に、俺の頭はついていかない。こいつは何が狙いなんだ?
「僕は、君たちを見返してやる、その一念で猛勉強して医学部に行き、医者になったんだ。いつか君たちに会えるのを、楽しみにしていたよ。いじめた方は忘れても、いじめられた方は一生許さないからね」
「そ、そうか。あのときは悪かったな。俺も子どもだったからな」
石川は俺の謝罪には答えず、俺の目を見据えて、ささやくように言った。
「明日の手術が待ち遠しいよ。堂々と
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