「ゆるさない」

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「ゆるさない」

 私は、携帯に通知が来ることが楽しくなっていった。それと同時に、噂を流すことも楽しくなっていった。  「見つけた」と書いてある画面を見落として。  私は一躍、有名になっていた。  「ねぇねぇ、また聞いた噂ない?」と、よく聞かれるようになった。それに対して私は、「今はないかな。また聞いたら教えるね」と答えるようになった。  誰かが私から噂を聞くことを楽しみにしてくれているんだと思うと、嬉しくて仕方がない。  私もあの携帯の通知をまだかまだかと、楽しみにしている時だった。  あの不思議な携帯が鳴った。  次は誰だ、と楽しみに携帯を開くと「この携帯を所持している貴方は、沢山の嘘をつき、人を傷つけている」と書かれた画面が出てきた。  混乱した。頭が真っ白になった。なんで、どうして。  「私じゃない」  その通知が来た次の日、「私が嘘をつき、沢山の人を騙している」という噂が流れていた。  沢山の人達に責められた。  昨日まで、噂を楽しみにしていた人達も責めてきた。  「酷い」「今まで騙して、楽しんでたんだね」「嘘つき」「最低だよ」「傷つけた人達に謝れ」  「ゆるさない」  その様子を見て、誰かが嘲笑っていた。
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