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01.軽い言葉、よりも軽い命。
コロナ世代の私たちにとって、楽しい学校行事は一つもなかった。
これは高校を卒業して大学に進学した今でも変わらない。
キャンパスライフには花なんか咲かず、雑草が生い茂っているだけだ。
人体だけではなく、社会構造にまで後遺症を残したに違いない。
そんな中、高校二年生の時の担任が亡くなったことを知った。
まだ二十代の若い男性教師で、いつも軽いジョークを飛ばす先生だった。
割と慕われていたと思うけど、部活動の顧問は何をしていたのか、記憶にない。
体育系の大会も全校応援することもなかったし、
文化系に至っては文化祭に向けて各人が自宅で作品を作っていたような高校だったからだ。
そんな母校でも、一つだけ全国的に取り上げられたニュースがあった。
クラスメイトの自殺報道だ。
私は関わり合いになりたくなくて、傍観者を決め込んだ。
大人の世界も同じだろう。
選挙の投票率の低い国民性なのだ。
投票場に行くなんて面倒くさい。
面と向かって文句も言えないのに、SNSでは強気になれる。
クラスのグループトークで陰口を叩く。
そんな連中に比べれば、私はまともだろう。
今日は自殺したクラスメイトの三回忌だ。
生き残った私は彼女のお墓で逢う約束をしていた。
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