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モニターに映し出されるシーンは当時の記憶を呼び起こした。
印象的な台詞。クライマックスに向かう音楽。
でも、隣にユーリの温もりは感じられない。
ごめんね。謝りたい。
もう一度、隣で映画を観たい。
『FIN』の文字が映画の終わりを告げる。
FINは現実に戻る合図だ、と彼女は言った。
流した涙は、映画によるものか、彼女への追悼か分からなかった。
プッシュ通知が鳴った。
グループではなく個別のトークでユーリからメッセージが届いたのだ。
開かない訳にはいかない。
二年間の時間の地層に埋もれていたトーク画面。
ユーリの自殺前日のトーク履歴で止まっていた画面。
『明日私のお墓で待っています』
あなたは本当にユーリなの?
明日、確かめに行かねば。
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