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「どうして私なのよ! 幼馴染みなのに! 何もしていないのに!」
「あなたは幼馴染みでした。何もしていませんでした」
「だったらどうして!」
「何もしなかった。謝ることも、イジメを止めることも。何もしなかったから」
背中から体温がすーっと引いていくと感じた刹那、下腹部が熱くなった。
ゆっくりと視線を移動する。
黒い服に彼女の手が添えられている。
その手がどんどん赤く染まっていく。
何だこれ? あぁ私の血か。
隣でモモカの泣き叫ぶ声が聞こえる。
あなたも刺されたのね。ご愁傷様。
私は薄れゆく記憶の中、中学時代に戻っていた。
「恵美の癖に名前負けしている」といじめられる私をユーリが助けてくれている。
この場面で『FIN』が付いたら良かったのに。
モモカにユーリの中学時代のイジメを教えるシーンなんかカットしてくれれば良いのに。
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