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事の発端は新たなグループトークだった。
二年三組に在籍していた三十七人全員が招待されたグループ。
連日四十度に迫る猛暑の中、彼女の命日の一週間前にできたグループ。
グループ名は『ゆるさない』。
作ったのは、ユーリ――自殺したクラスメイトの名前――だった。
『誰だよ、こんなグループ作ったの?』
『え、ユーリ?』
『ユーリな訳ないじゃん』
そんなことは分かりきっている。
彼女は二年前に死んだのだから。
死んだ後も名前を騙られ、死者に鞭打つとはまさにこのことだと思った。
不謹慎にも程がある。
私は怒りを覚えたが、すぐに鎮火させた。
誰も反応しなければ、すぐにアプリのトーク画面では埋もれていくだろう。
わざわざ思い出したい出来事でもない。
こういうのは無視が一番良い。
それなのに、馬鹿な元クラスメイト達はトークを上げ続けている。
人は二年やそこらじゃ変わらないな。成長できていない。
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