01.軽い言葉、よりも軽い命。

5/7
前へ
/24ページ
次へ
ハンバーグを食べながら、母は思い出したように聞いてくる。 その間もスマホのプッシュ通知は鳴り止まない。 「良い先生だったわよね?」 「うん」 「ユーリちゃんが亡くなった時の先生よね?」 「うん」 確かに良い先生だった。外面だけは。 ユーリが自殺した後、テレビで謝罪したのは校長と市の教育委員会の偉い人だった。 担任のインタビューはモザイクをかけられ報道された。 騒動の後、担任は他の高校に転任となった。 離任式をした記憶はない。 担任は勘違い野郎だった。 くすりともできない寒いギャグを飛ばし、愛想笑いに気づかず人気者と勘違いしていた。 その様子がおかしくて、クラスの何人かはわざと爆笑していた。 つまり、あの担任もいじられていたのだ。ご愁傷様。 きっとグループトークを見たら自信喪失しただろう。 ユーリのことだって、相談に乗ることで彼女を追い込んだ。 ドラマの見過ぎなのか、ウザかった。 ユーリ本人からいじめの相談を受け、クラスでアンケートをとった。 その結果、いじめではなく、ただのコミュニケーションだと片付けた。 それどころか、何事も経験だ、ポジティブに考えろと言い出して、自殺練習まで行わせた。 ユーリは練習させられた通りの方法で自殺したらしい。
/24ページ

最初のコメントを投稿しよう!

63人が本棚に入れています
本棚に追加