感情

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「ふぅ……今日も疲れたな」 僕はカフェでのバイトが終わり、従業員出入り口を出る。 「英太お疲れ様」 「え?あれ」 僕は最後から花音に声をかけられ驚いた。 「あれ?花音どしたの?今日は遅番シフトだから会えないって言ったよね?」 「急に、英太に会いたくなって……」 目の前の花音は間違いなく花音なのに、何処か違和感を感じる。 「ねぇ、お腹減っちゃった」 花音の声がいつもよりも少し鼻にかかっている。 「じゃあ、僕がオムライス作るよ。デミグラスの」 「アタシ、ケチャップがいい」 (アタシ……?) 僕はゆっくりと、繋いでいた花音の右手を 離した。 ピタリと足を止めた僕に花音ではない花音が、ケタケタと笑う。 「バレた?でも、今日からアタシが荒木花音だから」 「その声、いつも花音と一緒にいた美咲?とかいう人だよね。今のどういう意味?」 僕の中に黒い感情が揺らめいていく。 「怖い顔。ずっと花音になりたかったんだよね、だから花音そっくりに整形してこれからは、花音として生きていくの」 光悦とした表情を浮かべながら美咲がにんまり笑った。 「あ!イイコト教えてあげる。花音ね、さっき不慮の事故で死んだわよ。あ……間違えた。死んだのは美咲ね」 ーーーその瞬間だった。美咲の顔があっという間に驚きに変わる。
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