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 その約束は十年前に結ばれた。  小学校の卒業式の日、僕は唐突にクラスの教壇に立った。 「ねえ、みんな! 十年後の今日、みんなで同窓会をしようよ!」  一斉にクラス中の視線が僕に集まった。 「いいね、それ」 「うん、楽しそう!」 「みんな、予定空けておくんだぞ!」  三十人のクラスメイトたち全員が異口同音に賛成してくれた。僕は嬉しかった。約束してくれたことだけではない。十年後という遠い未来を思って心が躍ったのだ。  それから月日が過ぎ、その約束の日まで一か月となったころ、僕はそのときのみんなを集めるべく、クラスメイトに連絡を取った。連絡先が変わっている人も何人かいたけれど、何とか全員と連絡を取り合うことができた。  ところが―― 「約束? そんなのしたっけ?」 「ごめん、その日は先約があるの」  みんな、まるでなかったことかのように綺麗さっぱり約束を忘れていたのだ。中にはすごい剣幕で怒ってくる人もいた。 「平日に行けるわけないだろ! こっちとら、仕事があるんだ」  仕事は仕方ないけれど、こっちは十年前から約束を取り付けていたんだぞ。あまりに酷い裏切りじゃないか。  結果、こんな様子で三十人全員から欠席という返事をもらった。僕は最後の一人から返事をもらった瞬間、失望でまるで漫画のように膝から崩れ落ちた。  これが、僕の人生最大の約束で、最大の裏切りだった。
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