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1 本命に凸られた(※R18描写あり)
「あっ、あん、あん…っ、すきっ、」
「く…風悠…っ!」
アナルに激しく抜き差しされているのはカレシの路君のおっきなペニス。さっき路君が僕の中で出した精液と僕の体が潤滑の為に分泌した愛液とが混ぜ合わされて、細かいけど重たげな白い泡になって、ずぽずぽしてる結合部周りに纏わりついてるのが見えた。
「あ、あっ」
視覚的ないやらしさにイキそうになってたら、体をひっくり返されて後ろからより深く挿入。
パンッパンッパンッ
と、抽挿が容赦無くなってきて、僕の余裕も無くなる。路君のペニスが直腸を音を立てて出入りする度に膨れた僕の前立腺も刺激されて、お尻の中、熱い。
先っぽでそんなに奥ばっか突かれたら、開いちゃう、受精しちゃう!
「み、ちく、ん…ァ、だめ…だめ…ッ、あああああっ!」
「風悠、可愛い……。」
「いやっ、そこダメっ、あん、ダメ、できちゃう、できちゃうよ…にんしん、しちゃ…あんっ!!」
「子供出来たら番になれば良いだろ……くっ…、」
「ほ、ほんとぉっ?うれしい…ああんっ、いくぅっ!」
激しい突きで僕を揺さぶる路君。気持ち良いんだけど、何時も少し痛い。でもきっと皆こうなんだよね、セックスなんて、きっと。
僕は路君が気持ち良くなってくれたらそれで良いんだ、と思い直してまた快感を拾う事だけに集中する。
後ろからする時、路君は僕の腰かお尻、脚しか掴まない。ペニスも乳首も弄ってくれない。只、自分がイく事だけしか頭に無いみたい。中出ししたい為だけに番って言ってるんじゃないかって、最近は思えてきたくらい、前戯も愛撫もおざなり。こんなものなのかな…何かちょっとさみしいよ…。
でも、中でみっちりしてきた路君を感じてそろそろイきそうかな、って時にバタンとドアが開いた。
「……路也…なに、してるの…。」
「真冬……ちが、これはっ…!」
突然聞こえた第三者の声と、声の主を瞬時に認識したらしい路君の慌てたような声。
何が起きたか、最初は把握出来なかった。
でも、ドアを入った所で冷たい表情をして立っている綺麗な男の人を見て、その人を見て真っ青になっている路君の姿を見て、すうっと体と胸の熱が引いていくのを感じた。
あ、そっか。
路君には最初から、大事な人がもう居たんだね。
…僕は浮気相手だったんだ。
ジーッ、と僕の耳だけに響く、エアジッパーが下りる音。
「…けんじゃねえぞこの野郎。」
首をねじって振り返りながら呟いた声に、まだ体が繋がったままの路君が怪訝な様子。射精前のαのペニスはすぐには引き抜けないから焦ってるんだろな。
「風悠、ちょっと今黙ってろよ、あの、これは違うんだ、真冬。遊びで…、」
その辺でガワが完全に脱げて、ぷちんと堪忍袋の緒も切れた。
「さっさとその腐れちんぽを退かせ、この外道が!!」
ドスの効いた声で怒鳴った。ビクーッと縮こまっていく路君のペニス。
挿入時のαのペニスは射精しないと抜けないとか聞いてたけど、やれば出来るじゃねえか。
ベッドに歩いてくる途中だったらしい美人男子(多分Ω)も怒声に驚いたのか立ち竦んで困惑顔だ。そりゃそうだよな。自分で言うのも何だけど、俺は見た目だけならあの美人にも劣らねえ美少年フェイス。こんなデスボイスが出てくるとか思わないよな。
「ふ、風悠?風悠チャン?」
様子を覗うように顔を覗き込んでくる下衆男に俺は丁寧に返答を返した。
「……っせえ。よくも俺様を浮気相手にして弄んでくれたな、この三下αが。」
久々に封印を解いた地顔で睨み付けると、ひゅっと喉を鳴らして竦み上がる男。
怯えの色が見え始めたその右頬を蹴り飛ばして、俺はベッドから降りた。勿論、フルチンだ。
「ぐふっ、……な、な…え?何?」
多分口の中がどっか切れたんだろうに、何か言わずにはいられないらしい下衆男。部屋の入り口から数歩の地点で立ち止まり、男と俺を忙しなく交互に見て困惑を隠せない美人男子(暫定Ω)に、俺は言った。
「すまねえな、まさか相手が居るとは知らなくて口説きに乗っちまったわ。
上手い事ニオイ隠してやがったもんだぜ。」
「あ、…君、」
全てを察したらしい美人が眉を釣り上げて男に視線を向ける。
「アンタも大変だな、あんなのが番になる相手だと。…まあ、病気には気をつけさせろよ。多分…、」
初犯じゃない、と言いかけて、やめた。それはクソαと浮気された美人の間の事だ。
俺はクソ男に剥ぎ取られて乱雑に床に散らかされていた下着と服を次々と拾って着ていく。めちゃくちゃ視線を感じるわ。
「ふ、風悠…、おま…。」
「名前呼ぶんじゃねえ。二度とそのツラ見せんじゃねえぞ…今度俺のテリトリーで見かけたらこれくらいじゃ済ませねえからな。」
俺は振り返らないままで服を整え、ドア付近のサイドボードの上に置いてあった鞄を持った。
「……ごめん。」
無駄にプライドの高いαの事だから、謝罪は聞けないかと思ってたら、意外にも聞こえたごめんの声。直後に聞こえた平手打ちの音を聞きながら、俺は部屋を後にした。
あの謝罪が本心からなのか、眉吊り上げた恋人が怖かったからか、豹変した俺への戸惑いからだったのかは…もうどうでも良い事だ。
クソαのマンションを出てから少し歩いた所にあったコンビニで煙草を買った。
約3ヶ月振りの解禁だ。
何せクソ路と出会ってから、ヤニ臭いのがバレると不味いからってんで禁煙していたからだ。長かった。俺にしちゃなかなか頑張ったほう。
カリスマモテΩの行動を観察・研究して、分厚めのガワ(エア着ぐるみ)を被っていたいけな庇護欲をそそる僕ちゃんぶりっこも頑張ったし、演技力だってまずまずだった筈だ。
それもこれも、死ぬ前に俺の婿とひ孫の顔が見たいって、今年80歳になった唯一の肉親の婆ちゃんが言うから!!(説明的でスマソ)
「あー、初婚活失敗だわ。」
俺はコンビニ前で一本喫って考えて、最近足が遠のいていた行きつけの店に向かう事にした。
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