君のためなら俺はネコになるっ!

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終業時間になって、俺は一旦、自分の部屋に帰ると荷造りをした。 するとインターホンが鳴る。 「はい」 「健くん、僕」 「すみません、迎えにきてもらって」 「行こっか」 二人はタクシーを呼んで同乗した。 タクシーの中で紫苑が手を握って来てドキドキする。 紫苑の部屋に行ったら… 紫苑を抱きたい、そう思った。 やがてタクシーが、あるマンションの前に停まる。 瀟洒な外観の新しいマンションだった。 紫苑がエレベーターに乗って6Fを押した。 紫苑の部屋の前に辿り着く。 「お邪魔します」 「いらっしゃい」 紫苑の部屋はベージュを基調とした紫苑らしい温かな部屋だった。 部屋に入るなり俺は紫苑を抱きしめた。 「健くん?」 紫苑がビックリして振り返ってくるが腕の中にガッチリ閉じ込める。 「紫苑先輩のこと…抱きたい」 そう言って俺は紫苑に貪るように口付けた。 「ふ、う」と紫苑の口から吐息が漏れる。 すると紫苑が手で俺の顔を無理やりどけた。 「健くん、僕はネコにはなれないよ」 「俺もネコにはなれません」 紫苑が俺の手を強く引いた。 「シャワー行くよ、健くん」 「だから紫苑先輩っ!」 紫苑が有無を言わさぬ力でシャワー室まで俺を引っ張る。 「ほら、早く脱いで?健くん」 「紫苑先輩っ!俺に抱かせてください」 「それは無理だよ」 言うなり紫苑が俺のスラックスのベルトを外し始める。 「紫苑先輩っ!」 あっという間にスラックスが脱がされてしまい下着だけの姿になる。 紫苑が下着をずり下げる。 「健くんはね、ネコなんだよ」 楽しそうにそう言う紫苑に納得がいかない俺はもがいてみる。 シャワー室の床に紫苑を思い切り押し倒した。 「ちょ、健くんっ」 紫苑の首筋を唇で辿っていく。 「紫苑先輩、好きです」 俺は性急に紫苑のシャツのボタンを外していった。 露わになった二つの突起を唇に含む。 「た、けるくんっ」 紫苑の顔をふと見ると、涙を流していた。 「紫苑先輩…?」 そんなに嫌だったのだろうか? 俺は紫苑に嫌われるようなことをしてしまったのだろうか? 急に罪悪感が湧いて、俺は紫苑から体をどけた。 紫苑先輩?
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