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「よくわからないが、なんとか好きになろう。
だから、俺と付き合え」
なんだろう、この人。
私のこと好きじゃないはずなのに、グイグイ来るんだが……。
「さもなくば、このお前が密かに書いてるホラー小説を回覧で回すっ」
「ホラーじゃないですっ」
「ホラーだろ。
ストーカーの呟きが書き殴ってあるサイコホラーだろ」
衣茉は衝撃を受けた。
自分では、一番いけてる情熱的なラブストーリーのつもりだったからだ。
「……付き合ってください、課長」
「え」
自分から言っておいて、八尋は驚く。
衣茉は八尋を見つめ、がっしりとしたその手を握った。
「付き合ってください、課長っ。
さあ、デートに行きましょうっ。
来週までにっ。
いや、来週までに仕上げるということは、今日? いや、明日くらいにっ」
なにを来週までに仕上げるんだ……?
という顔をしながら、八尋が言う。
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