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「ねえねえ、衣茉ちゃん。
なんなの? 昨日のあの送信取り消し」
お手洗いで出会った秘書の湯村明子に、衣茉は唐突にそう訊かれた。
部署は違うが、同じフロアなので、こうしてよく出会う。
そんな明子を衣茉は入社したときから、頼りにしていた。
「えっ?
なんで、私が送信取り消ししたってわかったんですか?」
「だって、なんか入ったなーと思って見たら、衣茉ちゃんが送信取り消したって出てたから」
消されると気になるじゃない、と言われ、
「すみません。
友だちに送ったつもりが間違えてて」
と言うと、明子もお手洗いを出ながら、ははは、と笑う。
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