キス、そして‥‥

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キス、そして‥‥

吐息混じりのキスを繰り返し、 うっすら目を開けた。 長いまつ毛をちらちら動かしながら 目を閉じている川瀬のキス顔を見て 満足した僕は、また目を閉じた。 最初こそ唇を合わせるだけの ソフトなキスをしていたが、 だんだん舌を絡め合わせる濃厚なキスに 移行する。 川瀬は経験済(たぶん)なだけあって、 キスが上手だった。 僕は川瀬のキスを受け入れながら、 少しずつ習得した。 川瀬を感じさせるキスがしたい。 その一心で、キスを続けた。 「岸野くん」 「ん?」 川瀬が、耳元で囁いた。 「好きだよ」 「うん、僕も大好き」 抱きしめる力を強めて、囁き返した。 キスだけでこんなに幸せなのに、 これ以上のことも彼とするんだよな? そう思ったら、胸の中が僅かに疼いた。 川瀬にゆっくりその場に押し倒され、 シャツのボタンに手をかけられた時、 「川瀬くん」 堪らなくなって僕のボタンに触れる 川瀬の手に、自分の手を重ねた。 「本当に初めてなんだ。だから」 「うん、わかってる。優しくする」 川瀬に抱きしめられ、腕の中で目を閉じた。 シャツに、中に着ていたTシャツ、 ズボン、トランクスと順番に脱ぎ合い、 僕と川瀬は裸になった。 日焼けひとつしていない、 軟弱な身体つきの僕に対して、 川瀬はと言えば、 浅黒い肌に引き締まった腹筋、 適度に筋肉のついた腕と脚という 魅力的な身体の持ち主で、 僕は思わずその身体に見惚れてしまった。 「岸野くん、そんなに見つめないで」 川瀬はそう言って、本気でテレている。 「だって、川瀬くんかっこいいもん」 素直に褒めると、川瀬は、 「いつか好きな人に見せる時のために、 多少鍛えてはいたけど」 と言った。 「へえ、そうなんだ。 川瀬くん、腹筋触ってもいい?」 「いいよ」 「うわ、固いね。すごいよ」 川瀬の腹筋を掌で数回触ってから、 何気なく川瀬を上目遣いで見た。 「岸野くん、それ狙ってやってる?」 「何のこと?」 「‥‥何でもない」 川瀬は赤い頬を更に赤くしてから、 また僕を抱きしめた。 「何だか、僕ばかり好きみたいだ‥‥」 「嘘。ごめん。触りたくなって、つい」 「違う違う、確信犯的行動に思えて、 勝手に動揺しているだけだよ」 「えっ?」 「やっぱり、僕の方が岸野くんを好き なのかも。ねえ、岸野くんはいつから 僕のことを好きになってくれたの? 僕は一目惚れ。岸野くん、入学早々、 学内で学生証を落としたでしょ?」 「あ」 2ヶ月前、食堂に置き忘れたことがあった。 学生課に届けられていて事なきを得たが。 「もしかして、川瀬くんが拾ってくれたの」 「本当なら直接、岸野くんに渡すべき だったんだけど、恥ずかしくて。 佐橋に学生課に行ってもらったんだ」 「で、一目惚れって何?写真でってこと?」 「うん、写真。かわいくて、驚いた」 「嘘みたい。写真写り、めっちゃ悪いのに」 「そんなことないよ。かわいいって。 それ以来話しかけるタイミングを待ってた。 で、岸野くんはいつから僕のこと」 川瀬に顔を覗き込まれ、僕は答えた。 「川瀬くん、入学式に挨拶したでしょ。 それを聞きながらモニターを見たんだけど、 堂々としていてかっこよかった。 つまり、僕も一目惚れ」 「本当に?嬉しいなあ」 全開で微笑んだ川瀬が愛おしくて、 僕も微笑んだ。 「運命の相手なのかもね」 笑われるかと思いながら言ったが、 川瀬は、きっとそうだねと頷いた。 見つめ合って、抱きしめ合いながら、 深くキスを交わした。 何度キスしても絶対に飽きない、 いや、川瀬となら飽きる訳がないと思った。 「じゃあ、触るね」 僕は横になった状態、川瀬はその横に跪いた。 川瀬によって 大切な部分にローションを垂らされ、 まんべんなく塗りたくられた。 ローションの冷たさと川瀬の指先から 伝わる熱が交互にやってくる。 僕は、何度も息を吐いた。 「岸野くん、痛かったら言ってね。 最後までできなくても、気にしないで」 川瀬は長い指先を駆使して、 僕の気持ちいいところを慎重に探り始めた。 「‥‥何か、気持ち悪い」 初めて指を挿れられた、正直な感想。 川瀬が、えっ止める?と真っ青になった。 「だ、大丈夫‥‥きっと、そのうち、 気持ち良くなるよ」 「そう?‥‥じゃあ続けるね」 ゆっくり指を抜き差ししながら、 川瀬は僕の顔を伺っている。 「やっぱり、止めようか?」 「ん‥‥もう少し、続けて」 緊張からか、肝心な部分が解れない。 せっかく川瀬が、 気持ち良くしようとしてくれているのに。 一体、どうしたんだろう。 「あのさ」 「ん?」 「岸野くん、ちょっとだけ僕に任せて」 「うん‥‥?」 何かを考えた様子で、川瀬が僕から離れた。 僕は不安げに、川瀬を見上げた。 「岸野くん、舐めるよ」 「えっ」 その声とともに足を持ち上げられ、 僕の身体は天井を向いた。 「川瀬くん、それは恥ずかしいよ」 慌てて足をバタバタさせた。 そんな僕に向かって、川瀬がキレた。 「ねえ。気持ち良くなりたくないの? 言うこと聞いてよ」 その瞬間、ゾクっとした。 僕は気づいた。 僕が感じるのは、優しい愛撫ではない。 「川瀬くん」 「あ、ごめん。ちょっと怖かったよね」 「あのさ、これから少し乱暴にできない? 今、川瀬くんに強く言われた時に、 疼いたんだ」 「ええっ?!岸野くん、そっちの気があるの? いいよ。やってみる」 目隠しをし、手は紐で固く縛られ、 床に転がされた。 触られていないのに、身体が熱くなった。 僕の目の前に跪いた(と思われる)川瀬が 僕のアレを荒く扱きながら 大切な部分に乱暴に指を出し入れすると、 快楽の波が後から後からやってきて、 喘ぎ声が止まらなくなった。 「ああああああっ!」 「どれだけヨガってんだよ、お前は」 指は1本が2本になり、 あっと言う間に3本を飲み込んでいく。 粘液でトロトロになった大切な部分を 川瀬がぐちゅぐちゅと音を立てて掻き回し、 「こんなにされて気持ちいいなんて、 変態だな、お前」 と言う声で、僕は泣きながらイッた。 「勝手に射精しやがって。誰がいいって 言った?」 「ごめんなさい‥‥っ、お、お仕置き、 して、くださいっ」 目隠しを外されて、 目の前に川瀬のギンギンに勃ったアレが あるのが見えた時、僕は息を飲んだ。 これ、舐めていいんですか? 声にならない声で川瀬を見上げ、 問いかける。 川瀬のアレは既に先走りの汁が溢れ、 僕は一滴残らず舐め取った。 「そんなにうっとりした顔で咥えんなよ」 すぐ横にあった姿見を見ろと言われて、 素直に確認すれば、 そこにはとろんとした目、紅潮した頬、 だらしなく開いた唇を見せている僕の姿が あった。 まるで盛りのついたメス犬のようだった。 「はあ‥‥♡」 準備万端。 さっきから川瀬のを飲み込みたくて、 うずうずしていた。 お仕置きということで、 川瀬によって口の中を激しく犯されていた のに、気持ち良すぎて2回目の射精をした。 「何度イけば気が済むんだよ、メス犬っ」 自分でもメス犬のようだと思ったそばから、 川瀬にそう言われて、また泣き出した。 「ごめんなさい‥‥また出ちゃいました」 「これはナマでするしかないな。腰上げろ。 挿れてやるから」 震えながら四つん這いになった僕は、 次の瞬間、 川瀬に後ろから一気にハメられた。 「んああああッ!」 疼いていた大切な部分が、川瀬を全て 飲み込んだ。 川瀬の激しい抽送が始まり、 僕は失神しそうになりながら、 川瀬に合わせて必死に腰を振った。 僕の両腰を掴みながら、 川瀬が力強く僕を犯していく。 「ああっ、すごい、すごいよっ! もっと、もっと、犯してっ!」 「言われなくても、全部奪ってやるから! もう俺なしじゃ、いられないようにして やるよ!」 「ああああああああッ」 3回目の射精をしたはずだったが、 透明な液体がぶしゃぶしゃ出た。 初めてのことに僕は驚いた。 「潮まで吹きやがった。最低最悪だな。 もうお前は、俺の前でだけ泣け」 川瀬は僕を振り向かせて、 涙が止まらない僕にキスをした。 「じゃあ、最後に中出ししてやる。 全部受け止めろよ、わかったな」 バックから正常位に体位を変えて、 キスをしながら川瀬と愛し合った。 「川瀬くん、ありがとう。 さっきはすごく気持ちよかった。 わがまま言ってごめんね」 「気にしなくていいんだよ。 僕は岸野くんが大好きだから、 どんな岸野くんでも受け入れる。大丈夫。 これからもどんどん攻めてあげるから笑」 川瀬の怖いくらいの演技力に、感謝。 川瀬に抱きつき、軽く川瀬の唇を噛んだ。 「それ。絶対に狙ってやってるよね」 「さあ?」 「ああ、まだ岸野くんに片想いしそう」 「ふふ」 「もうそろそろ、僕もイッていいかな」 「うん‥‥、んあっ、激しいっ!」 「岸野くん、岸野くんッ!」 「川瀬くんっ、大好きっ!出して、早く! いっぱい出してぇ!」 「ああッ、出るッ!岸野くん、出すよッ!!」 「‥‥ああああああっ、いっぱい出てるっ!」 僕の最奥に 川瀬のがぶち込まれた、その瞬間。 僕は一生、 川瀬だけの女の子になると決めた。 いや。 ちょっと危険な性癖を持つ僕の恋人が 務まるのは、川瀬だけ。 そう、言い換えよう。
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