怖い話〜友達〜

1/1
前へ
/1ページ
次へ
とある小学校に、結菜と友美というとても仲の良い女の子がいました。 2人は、学校ではもちろんのこと、放課後も毎日一緒に遊んでいました。 その日も2人は遊ぶ約束をしていたので、 お互いにいったん荷物をおきに家に帰りました。 結菜の両親は共働きで兄弟もいないので、いつも家に帰っても一人。 そんな時いつも一緒にいてくれる友美はとてもありがたい存在でした。 家に帰ってすぐに部屋に荷物をおき、家を出ようとすると家の電話が鳴りました。 電話に出ると、相手は友美でした。 「もしもし」 「・・・・」 「もしもし?」 「・・・わたし、友美。今日は用事が出来て遊べなくなったの。ごめんね、また遊んでね。」 友美との約束がなくなり、がっかりする結菜。 すると、いつもよりも仕事がはやく終わったという母親が帰ってきました。 なんだか、いつもと様子が違う母親が気になって結菜が訪ねると どうやら母親は、帰り道に近くの通りで交通事故の現場を見てしまったそうです。 その交通事故は、酷いもので被害者は大型トラックに引きずられて亡くなったそう。 次の日学校で、その事故の被害者が友美だったということを結菜は知ります。 1ヶ月経っても、結菜は立ち直れませんでした。 あんなに元気だった結菜は、ほとんど喋らなくなり学校も休むようになりました。 その日も結菜は、学校を休んでひとりで家で寝ていました。 お昼の13時頃、インターホンが鳴り結菜は起きました。 親もいないので家には結菜1人、誰とも話したくないので無視していましたが、 しつこくインターホンは鳴り続けます。 仕方なくリビングにあるモニターを見てみると、 映っていたのは赤いフードをかぶった子供のようで、しかも異常に痩せ細っていました。 結菜は「だれ?」と尋ねましたが返事はありません。 マイクから聞こえてくるのは、まるで喉に痰が絡んだような息の音だけ。 さすがに気味が悪かったので、警察に連絡しようと思ったその時、 気付いてしまったのです。 その子供には両腕がありませんでした。 そしてフードだと思っていたものは、顎から上がひしゃげた頭だったのです。 モニターを見るとソレは、家の中に入ろうとしています。 どうしていいか分からずパニックになった結菜はその場にうずくまり そのまま気がついた時には床に倒れていました。 意識を失っていたのでしょうか。 部屋の中やモニターを見回しましたが、もうソレはいませんでした。 その時になって、結菜は気づきました。 あの子供が着ていた服が、事故当日の友美とまったく同じだったことを。
/1ページ

最初のコメントを投稿しよう!

4人が本棚に入れています
本棚に追加