タコさんウインナーの悲劇

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 私は高校生になってから、朝早く起きて自分でお弁当を作っている。苦労して自分で作った方がおいしく感じられるから作るようになった。  今日のお弁当は、アスパラのベーコン焼き、鮭のパン粉焼き、ほうれん草の胡麻和え、卵焼き、そしてタコさんウインナーだった。どれもおいしそうだけど、かわいいタコさんウインナーを食べるのが楽しみだった。  学校で熱心に勉強をしていると、お昼休みになった。私は自分のお弁当を机の上に置きお弁当箱を開けて、さあ食べようと箸を持った。その時だった。 「早川さん、弁当のおかず交換しようぜ!」  突然、隣から声が聞こえて、私が戸惑っていると、タコさんウインナー目掛けて箸が飛んできて食べられてしまった。  タコさんウインナーを食べたのは隣の席の柳原君だった。私が大事にしていたタコさんウインナーをおいしそうに食べているのを見て、怒りが沸々と湧いてきた。柳原君をきつく睨んだ。許さない。許してなるものか! 「代わりに俺の卵焼きあげる」  卵焼きなら私のお弁当にはもうあるのに。文句を言いたかったけど、柳原君は私のお弁当箱に卵焼きを入れた。私は悔しさを胸に卵焼きを口の中に入れた。  私はタコさんウインナーが食べたかったのに、柳原君の卵焼きなんて。あれ。おいしい。卵がふんわりとやわらかい。とてもおいしい。困るほどおいしい。  私はおいしくて頬が緩みそうになるのを我慢して、柳原君に仕返しをしようと思った。私のタコさんウインナーを食べたことを後悔させてやる。
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