願い

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ちゃぽん、とバスタブの中で湯が跳ねる。ホテルの部屋に備え付けられた浴室は、二人で入っても余裕があるくらい広々としており、ほんのりと檜の香りが漂っている。 躊躇いがちに身体を寄せると、瀬名に優しく抱きしめられて濡れた髪や肩に口付けが落ちて来る。 「くすぐったいから止めろ」 なんて口ではそう言いながらも、本当はこうして触れられる事が嬉しくて理人は湯の中で自分の指を瀬名の指に絡めた。瀬名もまたそんな理人の行動に応えるように指先に力を込めて握り返してくる。 お互いの指先を擦り合わせているだけなのに、それすらもが愛おしくて堪らない。 あの後、二人は連れ立って神社近くのファッションホテルへと入った。 フロントで部屋を選んでいる間も、エレベーターの中でも瀬名は離してくれなくて、腕の中に閉じ込められたまま、目が合うと直ぐにキスの雨が降ってくる。 それは部屋に入ってからも変わらず、取り敢えず濡れた身体を温めようと言う話になったのだが……。 「……ん……ぁ……」 浴槽に張られた湯よりも熱い舌が絡み合い、息継ぎの合間に漏れ出る甘い吐息が狭い空間に反響する。 角度を変えて何度も深い接吻を繰り返し、唾液が混ざりあう淫靡な水音に鼓膜を刺激されそれが余計に二人の興奮を煽った。 「ふ……んッ」 甘い吐息ごと飲み込むようにして瀬名の唇が理人を塞ぎ、角度を変えて何度も吸い付かれる。瀬名の手が理人の下腹部に伸び、ゆるゆると撫で回す。その感触に理人は小さく身を捩らせた。 「……っ、ここ、風呂の中だぞ? 駄目だって……」 「わかってますよ。でも、もう少しだけ……」 「ぁ……っ」 瀬名は焦らすような手つきで理人の太腿を撫でた。内腿の際どい部分を刺激され無意識のうちに腰が揺れる。
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