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 二週目の特権で、成績は優秀だ。両親には理解と経済力があるし、独立してからもポメロとふたり、路頭に迷うことはないだろう。 「どう?」  覗き込んだ翔平の顔を、ポメロは潤んだ目で見つめ返した。 「アタシ、レインと会えたら、また向こうでふたり楽しく暮らしたいと思ってたんだけど」 「……うん」 「あなたと一緒なら、どこだっていいわ。世界なんて、ただの背景だもの」  つぶらな黒い目が、街灯を映してきらりと光る。その強気な言い方がいかにもポメロで、翔平は思わず吹き出してしまった。 「ポメロのそういうところ、ほんと好きだよ」 「うふふ!」  ポメロが前足を上げて翔平に飛びつく。その柔らかな毛並みに頬ずりした瞬間、ふたりを照らす光がフッとかげった。 「勇者レイン! 見つけたわよ!!」  反射的に顔を上げると、窓灯りを背にしたツインテールの影が目に映る。短いスカートをひるがえし、その人物は翔平の目の前に舞い降りた。 「着地成功! 10点満点!」  体操選手よろしく両手を上げて着地した少女は、思ったよりも小さい。後ろにある学習塾の二階の窓から、「ハナちゃんが飛び降りたぁ!」という歓声と悲鳴が聞こえた。  推定身長135センチのハナちゃんに、翔平の膝上でポメロが警戒の姿勢をとる。すると少女は一瞬目を丸くして、満面の笑みを浮かべた。 「えーっ、もしかして、あのときの(ウルフ)ちゃん? すごいかわいい姿になったねぇ!」
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