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 すっかり暗くなった住宅街で、翔平はバス停脇のベンチに腰を下ろした。膝に乗せたポメロは、寝耳に水の真実に体を震わせている。 「レイン(わたし)はね、殺されたんだ。あの街の権力者たちに」  オブラートに包まず伝えた事実は、ポメロが伝え聞いていた話とは全く違うものだったからだ。 「神官の魔法で、ニホンに還してもらったんじゃなかったの?!」  そう問うポメロに、翔平は片方だけ口端を上げて肩をすくめた。 「魔王がいなくなって、自分らが都合よく政治をするのに邪魔だったんだろうね、勇者レインの存在が」 「そんな……」 「会食中に捕まって首をはねられて、気がついたらこっちの世界に戻ってた。女の人のお腹の中で、男の子に生まれ変わってさ」  それがこの姿だよ、と、翔平は腕を広げてみせた。 「アタシ、騙されてたのね……お別れも言わずに還ってしまったのかと思ってた」 「言えなかったんだよ」  小学生らしくない苦笑を浮かべ、翔平はふわふわの毛並みを撫でた。 「ポメロのことは心配だったけど、街の人達に大事にされるか、森に帰って平和に暮らしていけるなら、それでいいと思ってたのに……」  無害な魔獣にまで害をなすとは。強欲な人間がはびこるくらいなら、魔王など倒さなければよかったのかもしれない。 「ごめんね」
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