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「何か扱い雑だよな……」
啓斗のぼやきを背中に浴びながら、ローテーブルにあれこれを乗せる。我が家にはダイニングテーブルなんて気の利いたものはないからこれが食卓代わりだ。それから背後のベッドからクッションを取って床に敷く。
「何飲む? 持ってきてくれた中から選んでもらうことになるんだけど」
「もちろん酒! 汗かいた後のビールって美味いよな」
一言一句同意する。昼から飲むのは最高だし、しかも奢りならなおさら美味しい。五百ミリリットルの生ビールを啓斗の前に置く。
「紗矢は飲まないの?」
「飲みたいけど、昨日飲み過ぎたからやめとく」
「ま、他にもあるし夜のお楽しみってことで」
聞き捨てならない。
「夜まで居座る気じゃないでしょうね」
「えー、ダメ?」
「ダメに決まってるでしょ!? ちゃんと帰ってもらうからね」
「無理無理、熱くて死ぬ」
着替え持ってきている時点でおかしいと思っていたけど、確信に変わった。最初から泊まる気で来ている。ありえない。
「こっちこそ無理! うち予備の布団なんてないもん」
「俺、寝相もいいしいびきもかかないよ」
「だから?」
「最悪床で寝る。なー、お願い。他に行くとこないんだよ」
「いや、ホテルとかネカフェとかいくらでもあるでしょ」
立て膝から正座に足を直したって騙されない。
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