386人が本棚に入れています
本棚に追加
でも全部無駄だった。求められていたのは遠慮や気遣いじゃなく、わがままを言って甘えること。
何が間違っていたのか、なんて自分の傷をえぐるような質問に返ってきた答えだ。元彼は私が悪いんじゃない、自分の弱さだと言っていたけれど、慰めになんてならなかった。
今さらだけれど、元彼は付き合ったら四六時中一緒にいたがるタイプだったように思う。
初めてできた彼氏だった。社会人になってすぐの頃、友人からの紹介で知り合って、何度か二人で出かけるうちに告白された。
週末ごとに色んな所に行って、余裕がある日は週半ばに食事だけのデートをしてとすごく楽しかった。六つ年上で仕事のアドバイスをくれたり、何かとリードしてくれる所が好きだった。
でも一年も経たないうちに元彼に異動の辞令が出てしまったのだ。「ついてきてくれる?」って聞かれたけれど、私は社会人二年目だったし、赴任先は縁もゆかりもない場所。就職に苦戦したこともあって手放す決断ができず、彼を見送った。
最初こそ二週に一回くらい行き来していたものの、それが月一になり、隔月になり、ついには半年に一回に。
それでもこの二年、電話やメッセージはそれなりにやり取りしていたから遠距離でも大丈夫なんだって安心していた。
けれどここ数ヶ月は連絡も途絶えがちで、電話はもちろんメッセージも既読がつかないことが増えていった。
最初のコメントを投稿しよう!