傷心の私を男友達が誘惑する

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大急ぎでシャワーを浴びて、髪を乾かすのもそこそこに部屋中に脱ぎ散らかした昨日の服を洗濯機の中に放り込む。 室内は昨夜帰宅した時、明日の自分に任せたと丸投げしたまま荒れ放題だ。 気心知れた相手とはいえ、さすがに足の踏み場もないくらい散らかっているのは見られたくない。 ワンルームなのでとにかくスペースが足りなくて、色んな所にはみ出した持ち物を目につかない場所に押し込んで隠す。 朝ごはんも食べずに片付けと軽く掃除、最後に前日の朝からキッチンに置いたままのヨーグルトのパッケージ、それに菓子パンのビニールをゴミ箱に捨てた。 約束の一時間を二分くらい過ぎた頃合いだ。湿った毛先を肩に垂らしたままもう一度室内を検めてから玄関へ向かう。 玄関で待ち構えているとベルが鳴る。 「お待たせしました、ウーバーです」 ドアを開けると啓斗がつりがちな目を細め、人懐こい笑みを浮かべていた。 「はいはい、いいから入って」 「お邪魔しまーす。これ、差し入れ。こっちの小さいのはケーキだから斜めにしないで」 「え、ほんとに何か持ってきてくれたの? ありがと」 突然の来訪に文句の一つでも言ってやろうと思ったのに先手を打たれてしまった。 全部で三つ、渡された袋はなかなか重い。
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