傷心の私を男友達が誘惑する

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「ちょっと待ってて」 バスルームの中をさっと掃除してから啓斗を招く。脱衣籠なんて気の利いたものはないから洗濯機の上に荷物を置いてもらった。 「棚と洗濯機は開けないでよね」 言うまでもないことではあるけれど、さっきのデリカシーのない言動があるから念のため釘を刺しておく。 回しそびれた洗濯機の中には昨日の服と下着が入っている。 「あー、パンツ? 大丈夫、俺ガワにはあんまり興味ないから」 「だからさあ……!」 せっかく濁したのに台無しだ。気色ばんで拳を振り上げると、啓斗が首を縮める。 「はいはい、余計な所は触りません。そっちこそ覗くなよ?」 「誰が覗くか」 「さっきは俺の体、舐めるように見てたくせに?」 相手にするのも馬鹿らしくて、無言でスライドドアを閉める。 「そういえばさあ、汗の匂いが嫌じゃない相手って相性いいんだって」 締まりゆくドアの隙間からそんな言葉が投げかけられた。 何が言いたいのかわからない。聞き流しながら隙間なくドアを閉じ切った。
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