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忘れられない人
*
前世を記憶したまま生まれてきた。
当の君は俺の人生に一向に現れない。
会いたい。
君のことを探し続けた。
他の人とも恋愛してみた。
どの恋も長くは続かなかった。
魂が求めてるのは、昔も今も君だから。
「いらっしゃいませ」
目が合った瞬間、わかった。
まさか……
前世で愛した人。
姿形はおろか性別まで変わっていた。
それなのに君だとわかってしまった。
君に話すと、とても戸惑っていた。
もしかしたら――
記憶を取り戻すかもしれない。
淡い気持ちを抱いた。
記憶が戻らない君は心苦しそうだった。
今更引きずっても仕方ない。
そう自分の心に蓋をしようとした。
「……思い出したよ、モーリー」
星々を指差し、震える声で君が呟く。
愛おしさが急速にこみ上げる。
自分の立場も性別も何もかも忘れてた。
背を向ける君を抱き寄せる。
「モーリー駄目だよ。人に見られたら」
「少しでいい。このままでいさせててくれ」
「モーリー?泣いてる?」
――あぁ、そうだよ愛しい人。
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