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塾帰り
＊
通ってる塾は２階
１階にコンビニ
いつも帰りに寄る
お茶とおにぎりを持ってカウンターへ
「日比野さん。こんばんは」
「……こんばんは」
店員の須田さん
いつだったか
置き忘れたプリントを届けに
追いかけてきてくれた
――日比野百音さん。いい名前だね。
その声がリフレインし続ける
映画館の入口
須田さんと並ぶ女の子
心がヒリヒリする意味が
分からないまま
恋愛映画を観てたら答えが見つかって
感動したフリして泣いた
コンビニに寄らない日々
２週間が過ぎた頃
須田さんと鉢合わせ
「塾止めたのかなって心配してたんだ」
優しく声をかけられると余計に切ない
そんな歌詞の歌が
開け放されたコンビニのドアの向こうから
聴こえる
「映画館で見た。彼女といるとこ」
「あれ、妹」
「そう、なんだ……」
「もしかして、妬いてくれてた？」
「妬かないよ、別に」
「そう？俺は妬いて欲しいんだけど」
「え？」
須田さんが悪戯っぽく笑う
また明日から
コンビニに寄ろうかなと思う、塾帰り
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