時が戻せるなら

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時が戻せるなら

私はただの平凡な高校生だった。 今思うとこの事故が私の人生を変えたきっかけかもしれない。 何百年前いや、何千年前だったかはもう忘れてしまった。 それでもあの日のことだけは、あの事故だけは、今でも鮮明に覚えている。 いや、忘れられないといった方が正しいのかもしれない.........。 そうあの日は、普段は見上げない夜空を見て、月が綺麗だと、ただそんなちっぽけなことを思った日だった。そう、いつもとなんら変わらない日。 当時私は18歳。 大学の受験を控えていた時期だった。だからか、塾に通っていたため、帰るのはいつも夜遅い時間帯だった。 「あぁ。やっと帰れるー。」 長いと思っていた塾も終わってしまえばあっという間に感じてしまう。 「じゃあ、× × × 。また明日ね。」 友達が私にそう言ってお互い違う帰り道を歩く。明日もまた今日と同じことの繰り返し。 それでも…。 「うんまた明日。」 塾が終わり、友達とのいつもの会話。いつもと同じ電車。同じ帰り道。同じ時間。 今思えば、この日々の繰り返しが、私にとっては、とても幸せだったのかもしれない。 もう少しで家に着く。この横断歩道さえ渡れば、私の家はもうすぐだ。 なのに...。 「えっ.........?!」 横断歩道の線を踏んだ瞬間、急に辺りが闇に包まれた。何も聞こえず、何も見えない。私は何が起きたか全くわからず、体が固まってその場に立っていることしか出来なかった。 今でも思う。あの横断歩道さえ踏まなければ、こんなことにはならなかったのだろうと。
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