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神は存在するらしい
何十分たったのだろう。急に声が聞こえた。
何て言っているかは聞き取れないが、確かに聞こえる。
男性でも、女性でもない中性的な声。
私はただ何も考えず、声のする方へ走った。
体を動かしたのは、恐怖だったのか。希望だったのか、いや多分本能だろう。足を止めたらと想像するだけで気がおかしくなりそうな感覚だった。
「はぁ...ぁ...ぁ...。あと...もぅ...すこ...し...」
あともう少しで声のする方へ近づく。
一体誰が話かけて来ているのだろう。
誰でもいいこの暗闇から助けて。
そう思った瞬間、今度は急に辺りが光に包まれた。
私は眩しくて目を閉じると、そこは先程の暗闇ではなく、大空の上だった。
てっ、どういう状況なのこれ?!
とにかくここが本当に空のなら.........
「やばっ...?!落ちる!!」
私はとにかく必死に落ちないようにもがく。
「〜〜」
またあの声がする。でもこんなパニックの中でもその声は頭に響いて来た。
やはり何度聞いても今での人生で1度も聞いたことのない言語だ。
いったい何を伝えようとしているのだろう?
考えても分からないのは仕方ないとしても、ちょっとはこの状況を助けて欲しいものだ。
「なんて言ってるのか、全然分からないだけど!!」
思わずこのわけの分からない状況への苛立ちのままそう叫ぶと、
「落ちないから大丈夫だよ。」
と、流暢な日本語で話し始めた。
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