ビアンカの秘密

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「でもさ、ビアンカさんも負けちゃったし、雅もいないし……誰が優勝するのか、予想が難しくなってきたね」  明日香は話題を変えた。 「そうだな……もともと、第三の能力にはそれぞれ相性がある。雅みたいな奴は例外だけど、誰と当たるか……クジ運もあるしな」  圭介はそう言ってノートパソコンを開き、キーボードを叩いた。 「なに? AIに優勝予想させてんの?」 「ああ……AIの予想がはじき出した今回の優勝者は、ムラサキ・イカイ。この人も女性ナイトだな。今大会は……女性の出場者が多い。史上最多だ」  圭介はそう言って、ムラサキの第三の能力を調べた。 「なるほど……竪琴の音色で相手の感情を操る……例えば、悲しい音色を奏でると、相手は戦意喪失してしまう」 「へえー、面白い能力だね。でもさ、その人ってなんか、ビアンカさんと若干能力かぶってない?」 「ああ、確かに。でも、ビアンカの方が強いよ」 「なんで?」 「だってさ、竪琴壊されたら終わりだろ、このムラサキって人」 「た……確かに! AIはそこまで考えなかったのかな?」 「だろうな。AIはあくまでも『試合』の予想だから。まあ、俺がこのムラサキさんの対戦相手だったら、試合が始まる前に竪琴を見つけ出して壊すけどな」  圭介の予想通り、この後ムラサキの竪琴は何者かによって破壊され、彼女は次の試合を棄権することになった。
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