ビアンカの秘密

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「次の対戦相手は、めちゃくちゃ美人だな? でも勝利は譲れない。わかってるな、マシュマロウ? 俺にとって一番大切なものはあくまでも金……つまり、優勝して1千億ドルもらうことだ」  アンドレスはビアンカに見とれながらも、本来の目的は金であることを自分に言い聞かせた。金さえあれば、女などどうにでもなる。 「ええ……それで地球の永住権を買い取るのですね……」 「その通りだ。それさえ手に入れば、あらゆる金儲けが可能になる。もっともっと金を稼ぐぞ、マシュマロウ」 「……了解しました」  試合開始のホイッスルが鳴った。 「二人とも降参して」  ビアンカは顔色一つ変えずに言った。 「降参する」と、アンドレス。  しかし、マシュマロウは降参しない。彼女は、ビアンカの蠱惑的な眼差しに対しても屈することなく、その瞳を見返してきた。 「あなた……私の催眠術が通用しない……つまり、あなたは」 「その通りだ、ビアンカ。マシュマロウは『最新式』のアンドロイド。催眠術は通じない。お前の天敵だよ」  マシュマロウの代わりに、アンドレスが答えた。 「な……アンドロイドだと? 『機械』にこの大会の出場資格があるというのか?」  フランツが審判を呼び、試合は一時中断された。  ちなみに22世紀では、アンドロイドにも一定程度の人権が認められており、フランツが口にした『機械』という言葉は、差別用語とされている。
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