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碁
大会は5回戦に入った。ナイト世界最強決定戦は、9回勝たなければ優勝できない。そこまで到達するには、実力以上にクジ運も必要になってくる。圭介が指摘した通り、自分と相性のいい第三の能力の使い手と対戦できるかどうかが、勝利のポイントとなってくる。
5回戦のアンドレスたちの対戦相手は、アロン・ベネットとレイフ・リミテッドである。レイフは冷気を操る第三の能力を持っていることがわかっているが、アロンの能力は未だ謎に包まれている。
「ねえ、誰が優勝すると思う?」
パソコンの画面を凝視している圭介に、明日香が尋ねた。
「そうだな。俺独自の見解だけど、まずアンドレスたちが有力だ。そして、『瞬間移動できる』というジェームズ・マクスウェルと熱エネルギーを操るハリー・ジュールのコンビ。あとは……今からアンドレスたちと戦うアロンとレイフのコンビだな」
圭介は、キーボードを叩き、アロンたちのデータをパソコンの画面に表示した。
「レイフは冷気を操ることがわかっているが、アロンの能力は謎だ。そこがポイントだな」
「そっか。この大会って、自分の情報は極力公開せずに、相手の情報をより多く集めることが重要なんだね」
「その通りだよ、明日香。全く、『情報を制するものは世界を制す』とはよく言ったものだ」
「ただ強けりゃいいってもんじゃないんだね……深いな、なかなか」
明日香は圭介の影響で、ほんのちょっとだけではあるが、考えることが苦手ではなくなってきていた。
「さあ、次の試合でどっちが勝つか……アンドレスたちか……それともアロンとレイフか……注目の一戦だ」
圭介たちが見守る中、アンドレスたちの5回戦が始まった。
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