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「ふーん。言われてみればそうだな」
「そこで俺は考えたんだ。コロナの目的は人類を絶滅させることじゃなく、『人間を利用して、自らが増殖すること』なんじゃないかってな」
「うーん……確かに……人類が絶滅してしまえば、コロナもそれ以上増殖できなくなるな。なるほど」
「コロナが効率よく増えるためには、どうしたらいいと思う?」
「そ……そうだな、俺がもしコロナだったら、自分を増やしてくれそうな人間に感染するよ」
「だよな? つまりこういうことだ……若くて健康な人間に感染すれば、コロナにとっては都合がいい。なんでかわかるだろ? 彼らは行動範囲が広いし、長生きする。逆はどうだ?」
「あ……そうか、高齢者や持病のある人は、長く生きられない可能性が高い……そ、そうか、そういうことか」
「渋木、お前呑み込みが早いな。もっと真面目に勉強してれば、こないだみたいに単位落とさずに済んだのに」
「違うんだよ、田沼。あれはスマホの目覚ましをセットするときに、午前と午後を間違えてしまって、試験に間に合わなかったんだ」
「話を戻そう、渋木。さっき言ったように、コロナにとって都合のいい人間は、若くて健康な奴。逆に、都合の悪い人間は、高齢者……もしくは持病のある人だ。違うか?」
「確かに……考えてみれば、若い人は軽症や無症状の人が多いよな……つまり、コロナはそこまで考えてるのか? 脳も持っていないのに?」
「ああ、言いたいことは良くわかる。俺も不思議で仕方がないよ。さらにコロナの賢い点は……『賢い』と言うよりも、『巧妙』と言った方が適切なのかもしれないが……他の動物ではなく、人間を利用して増殖しているところだ」
「なんで?」
「考えてもみろ。他の動物に感染してたら、世界中に広まるまで何十年かかる? 確かに渡り鳥に感染すれば、海を越えることはできるかもしれない。でも、もっと効率のいい方法があるだろ?」
「そうか……人間に感染すれば、飛行機を使ってあっという間だ」
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