ある日突然、セフレができた。

1/1
20人が本棚に入れています
本棚に追加
/2ページ

ある日突然、セフレができた。

浅黒い肌、端正な顔立ちに、 匂い立つ色気で超モテモテの川瀬由貴。 かわいい顔立ちと愛嬌のある性格で、 男女問わず人気者の佐橋雄大。 平凡な外見で、 性格もこれと言った特徴を持たない 僕、岸野葵が どちらかを選び、 どちらかを切り捨てるなんてことは、 おこがましくて絶対にできない。 僕にとってのこの2人は、 中学からの親友であり、セフレなのである。 もちろん、 最初からセックスをしていた訳ではない。 話は、高校生男子らしいエッチな会話で 盛り上がってしまったあの日まで遡る。 6月19日は、僕の17歳の誕生日だった。 土曜日ということで、 両親が知り合いと夕方から呑みに行き、 そうそう帰ってこないと知った彼らが、 ケーキとチキンを持って遊びに来たのだ。 「では早速、佐橋からお祝いの言葉を」 僕たちの前だけ饒舌になる川瀬が、 ジュースのグラスを手にした佐橋に 水を向けた。 佐橋はそれを調子よく引き受け、 「岸野くん。童貞のまま、僕たちの中で いちばん早く歳を取りましたね。 では岸野、もとい童貞くんに、乾杯笑」 と言った。 「やれやれ。乾杯」 「岸野はしたくないの」 川瀬に訊かれ、僕はぎこちなく微笑んだ。 「そりゃあ、したいけどさ。 キミたちのように相手がいない訳だし。 17歳で童貞って、別に普通じゃないの?」 「今はね。でもそんなこと言ってたら、 あっという間に20代、30代だよ。 どうしたら『卒業』できるのか考えなきゃ」 「そうだよ。岸野、スペックは悪くない んだからさ。頑張れよ」 中3で『卒業』した先輩の2人が、 ふざけながら僕を小突き始める。 「やめろよ」 「岸野の彼女、どんな子か早く見たいな」 「色白のぽっちゃり?だっけ。 岸野、好きだって言ってたよな。 ムチムチな身体を抱きしめたいって」 「ああ、言ったよ。だから中学の時、 同じクラスの河合さんが好きだった」 「あー、あの子かあ。いい子だったよな」 「今頃、彼女も彼氏ができて」 「バンバン、ヤッちゃってたり?」 「や、やめろって」 「岸野、今、想像した?笑」 佐橋に股間を拳で軽く叩かれ、赤面した。 「バカ、ふざけんな」 「岸野、かわいい」 今度は、川瀬に股間を指で弾いてきた。 「お前ら、食べたらさっさと帰れよ」 2人に触れられるのは初めてではなかったが、 何故か敏感に反応してしまった僕に、 「岸野。アソコも、正直者笑笑」 と川瀬が言って、 「どうせ僕らが帰ったら、ひとりで するんでしょ笑」 と佐橋が続いた。 「す、するかよ」 図星だったが、慌てて否定した。 「なあ、佐橋」 「ん?何、川瀬」 「やっぱり、しちゃう?」 「しよっか」 「僕たち、岸野くん大好きだしね!」 「そうだね♪」 突然、川瀬と佐橋が意味深な微笑みを 浮かべ、アイコンタクトをした。 僕は怖くなり、 両手で自分の身体を抱きしめた。 「な、何するつもりだよ」 川瀬が傍らに置かれたバッグを引き寄せた。 そしてそこから大きな紙包みを取り出し、 僕の前に置いた。 「は、それは何?」 僕の問いかけに 川瀬は微笑んだまま答えず、 同じく微笑んでいた佐橋が紙包みを開けた。 出てきたのは、 透明な瓶に入った液体、指サック、 そしてコンドーム。 「川瀬と、僕からの誕プレだよ。岸野♡」 「おめでとう、岸野♡」 「♡を飛ばすな、気持ち悪い」 頭が混乱していた僕は、 彼らにそう言うのが精一杯で。 次の瞬間、 彼らに押し倒されるまで気づかなかった。 僕の初めてを、彼らが狙っていることを。 「川瀬、佐橋、冗談はそこまでにしろって」 実際に僕を組み敷いている川瀬と、 僕のズボンを脱がせにかかる佐橋に、 大声で抗議したが、 男2人の力に勝てるはずもなく。 抵抗も虚しく、僕は裸にされてしまった。 「岸野。ファーストキスと、アナル処女、 どっちが奪ってもいいか、岸野が決めて?」 指サックをした裸の佐橋に微笑まれたが、 これから起こることが怖すぎて、 首を振るだけしかできなかった。 遅れて裸になった川瀬が僕の頬に触れ、 「佐橋、ジャンケンで決めよう。 岸野は選べないってさ」 と言った。 そして僕の上に跨った佐橋が 川瀬とジャンケンをして、 佐橋が勝った。 「岸野のファーストキス、もらいっ」 佐橋が満面の笑みで、僕に覆い被さってきた。 「岸野、目を閉じて」 「佐橋、頼む。止めてくれ‥‥」 「大丈夫、気持ち良くするよ」 「そういうことじゃなくて」 ちゅ。 初めてのキスは、一瞬。 佐橋が悪戯っぽい表情で僕を見つめてきて。 「岸野、大好きだよ」 ぎゅっと抱きしめられ、再びキスされた。 固く閉じていた唇をこじ開けられ、 佐橋の舌がゆっくり入ってきた。 最初は動揺したが、 佐橋の言葉通り、途中から気持ち良くなり、 思わず息が漏れた。 舌を絡め合わせ、深くキスを交わした。 「佐橋、交代して」 川瀬が痺れを切らして、僕に跨った。 「岸野、お待たせ」 そう言うなり、 川瀬が僕に唇を合わせてくる。 佐橋のラブラブなキスとは 打って変わっての激しいキス。 文字通り唇を奪われた僕は、 川瀬にしがみつき、それを受け入れた。 「川瀬、それは反則だって」 佐橋が、 川瀬に絡めた僕の腕にそっと触れ、 引き寄せた。 「佐橋こそ、岸野を気持ちよくさせた癖に」 川瀬が容赦なく佐橋を睨みつけると、 佐橋も川瀬を睨み返した。 2人の間に、火花が見えた。 僕は身震いした。 こいつら、本気になり始めてる。 キスでこの状態なのだ。 最後までしたら僕は、 いや、僕たちはどうなるんだろうか。 友達に戻れるのか、それとも。 「岸野の処女は、僕がもらう」 「いや、僕がもらう」 僕から見ても魅力的な2人の男が、 この時ライバル心剥き出しで対峙していた。 「じゃあ、拡張してみようか」 指サックをつけていた佐橋が、 瓶に入った液体を手に垂らした。 僕は川瀬に抱きしめられながら、 執拗に川瀬の舌で口の中を犯されていたが、 目の端で佐橋の行動を確認した途端に、 川瀬とのキスを中断し、顔を歪ませた。 「マジでするの」 彼らとのキスはとても気持ち良く、 しっくり来るので、このまま続けてもいいと 思うようになっていたが、 拡張から先は絶対に無理だと思った。 「とりあえず、やってみようよ。 ゆっくり挿れてみるからさ」 「佐橋、挿れた経験あるの?」 「ある訳ないじゃん」 ですよね汗。 「川瀬は、どう思う?」 「岸野を喜ばせたい。それに尽きる」 ダメだ。川瀬も挿れたい派だった。 僕は溜息をつき、傍らの置き時計を見た。 「ねえ。親、帰ってきたらどうするの。 みんなして裸で。見つかったら、シャレに ならないよ」 「岸野、それなら大丈夫。うちの親も一緒。 朝までカラオケに引っ張って行くって 言ってたから」 「川瀬、お前という奴は」 「根回しはバッチリ。でも急ぐに越した ことはないね」 川瀬の言葉に佐橋が頷きながら、 不安を露わにする僕に向かって M字開脚するように言った。 佐橋に、 大切な部分をローションがついた指で そっと触れられた。 「冷たっ」 初めての感覚に、身体がゾクゾクする。 「岸野、こっち向いて」 僕のすぐ横に跪いていた川瀬は、 僕を自分の方に向かせてまたキスを始め、 佐橋は僕と向き合った状態で座り、 大切な部分にすぐ指を挿れずに、 その周りを優しく撫でている。 これから2人に、 代わる代わる挿れられてしまうのだ。 果たして僕は、 理性を保っていられるだろうか。 既に川瀬のキスでぼんやりしながら、 佐橋の繊細な指の動きに翻弄されていた。 「岸野、挿れるよ」 ぷちゅっとローションの擦れる音がして、 指先が大切な部分に埋まった。 それは、違和感しかなかった。 苦しくはなかったが、 気持ち良くなるとは到底思えなかった。 「少し、奥まで挿れるね‥‥」 「ううっ‥‥」 川瀬にしがみつきキスをしながら、 違和感の先にあるという快感の場所を待つ。 「岸野、大丈夫?佐橋、本当に合ってる?」 川瀬は僕を心配する余り、抱きしめる力を 強めた。 「岸野‥‥この辺り、どう?」 うっすら汗をかいた佐橋が、 指の先をくいっと曲げ、 ある部分をぐりぐりと刺激してきた。 快感の到来は、突然だった。 「あ、ちょっと待って‥‥?あ、なんか、 嘘、えっ、あっ、うわっ、何だ」 半ばパニックになった僕に、 佐橋は更に指の腹を使い、刺激を与える。 「さは、しっ、そ、そこ、何っ」 思わず、甘い声を出しかけた。 口を手で押さえながら必死で佐橋を呼ぶと、 佐橋は悪戯っぽく微笑み、 「たぶん、前立腺」 と言った。 「岸野、気持ちいいんだ?」 川瀬は興奮した様子で 佐橋の指で中を掻き回されて、 喘ぎ声を抑えられなくなりつつある僕を 見つめていた。 「ダ、ダメ‥‥そ、それ以上は、無理‥‥ あっ♡イッちゃう‥‥ああああああっ♡」 その間も佐橋の指は容赦なく増えていき、 やがてぐちゅぐちゅと激しく掻き回された。 僕は川瀬にしがみつきキスをねだりながら、 あっという間に射精した。 佐橋の太腿には、僕の放出した精液。 「あ、ごめん!」 慌てて佐橋に声をかけたが、 佐橋は僕を川瀬から奪い、抱きしめてきた。 優しいキスを僕の唇に数回落とし、 明らかに悔しそうな表情の川瀬に、 佐橋は目をやった。 「川瀬、お前はイカせられるか?」 僕は疲れ果て、その場に横になった。 「ああ、できるよ」 川瀬は頷き、 僕の両足首を掴み自分の方へ引き寄せた後、 僅かに開いていた僕の大切な部分に 口をつけた。 「えっ、川瀬、そんなっ、ダメだって」 ローションで充分に濡らされ、 佐橋によって敏感になっていたそこを、 川瀬は静かに舐め始めた。 「ああああああっ♡」 僕はまた、経験したことのない快楽の渦に 巻き込まれた。 川瀬はじゅるじゅると音を立てて、舐め続け。 僕の嬌声を聞いた佐橋は、 自分の真ん中で揺れているアレを 僕の顔の前に晒してきた。 僕はそれがどういう意味があるかを理解し、 抵抗なく佐橋のを咥えた。 「岸野、挿れるよ」 川瀬が、コンドームをつけて僕の中に 入ってきた時、僕はその刺激でまたイッた。 「岸野、岸野っ」 川瀬の激しいストロークに何度も気を失い そうになりながら、佐橋のを咥え続ける。 大切な部分は川瀬で、 口の中は佐橋でいっぱいになっていた。 僕は数分前まで、最後まで行くことへの 抵抗を示していた自分を心の中で笑った。 こんなに気持ちいいことを知らないで いい訳がなかった。 川瀬が、僕の中で果てた。 「佐橋、悪い。先に抱かせてもらった」 荒い息を吐き、僕から離れた川瀬は、 コンドームを外した。 先に溜まる川瀬の精液を見上げながら、 着けないでしたらどんな気分なんだろうと、 佐橋がコンドームを着けようとするのを 僕は阻止した。 「えっ、いいの?」 佐橋が驚きながら笑顔を見せた横で、 川瀬がムッとしている。 「次は、中で出してやる」 「うん、いいよ」 準備を整えた佐橋が、静かに入ってきた。 佐橋はどんなセックスをするんだろう。 シャワーを浴びに部屋を出た川瀬を見送り、 ゆっくり佐橋の腰の動きを堪能した。 「岸野‥‥今夜、お前を抱けて良かった」 佐橋の囁きが、部屋に響いた。 「一緒にイこうな」 ああ。 川瀬の全てを奪われるセックスもいいけど、 佐橋の優しくときめかせてくれるセックスも いい。 どちらかを選んで、どちらかを捨て去る。 今の僕には、絶対にできないと思った。 「佐橋」 深いキスをしながら、佐橋と抱き合った。 結局佐橋と僕は、シャワーを浴びて 部屋に戻ってきた川瀬が呆れるくらいの 時間をかけ、ほぼ同時に達した。 それからまた僕は川瀬と抱き合い、 宣言通り川瀬に中で出され、 余韻そのままに佐橋とまたセックスした。 午前2時過ぎ、川瀬がベッドの横で、 佐橋が1人掛けのソファで、 僕がベッドでそれぞれ眠りについた。 僕たちは、あの夜に一線を越え、 人にはそうそう言えない関係を築き始めた。 これからどういうバランスで 3人が定着して行くのかまだわからないが、 彼らに求められるうちは受け入れたい。 そう思っている。
/2ページ

最初のコメントを投稿しよう!