相合傘の思い出

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3話  タムラさんを部屋に上げたあの日から僕らの交際は始まった。  僕たちはお互い一人暮らしだったし付き合っている人も丁度いなかったので自由な時間に会いに行き。好きなだけ一緒に居た。なんの告白もなくただ自然な成り行きで恋人になっていた。いや、僕には成り行きでもそこにはタムラさんの意志があったと言えなくもなかったが。…そりゃ意志の力あったよな。あえて相合傘したんだから。  僕らは自由に愛し合った。  甘えたくなったらくっついて。  キスしたくなったら唇重ねて。  抱きたくなったら身体をひとつにした。  お互いに合鍵を持ち好きなようにお互いの部屋を使った。  彼女は僕と初めて会った時から惹かれていたという。  あの、フォーク並びを指摘したときからだ。 「あの時のあなた、素敵だった。お客さんにああいうの言わせちゃ店員失格なんだけど、気難しそうなおじさんとかには女2人番じゃ言いにくくて。だから助かったわ。もう、あの時好きになっちゃってたのよね。」 「未成年かもと思ってたのにか?」 「いいじゃない、未成年だって格好いいんだもん」 「未成年じゃないっつの」 ーーーーー  ある日、コンビニでユウコの名札を見たら【社員】タムラユウコ に変わっていた。【アルバイト】だったはずだが。 「社員になったんだ?」 「そうなの。へへ、褒めてくれる?」  僕はもちろん褒めた。立派だなと思った。素直に嬉しい気持ちになった。  だが、これが別れの始まりだったんだ。
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