目覚め

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目覚め

ここはどこだろ。 目の前は暗く、何も聞こえない。 意識だけがある。 ...何か、、鳴いてる。? 「ん...。」 「あ、おはよう!! 目が覚めたんだね。」 (だ、、れ。) 目を開くと目の前に見えたのは一人の男性、、男の子? のような人。真っ白なワイシャツに紺色のパンツ。窓から拔ける木漏れ日が生暖かくて気持ちいいまだ晩春。 僕は、この世界に生まれた。 ー朝食ー  「おはよう。やっと君とお話ができるんだね。!」 にっこりと笑みを浮かべ、元気な声でよくわからないことを次々と話していく。 「あ、、ごめんごめん。!難しい話ばっかり。 この話は後でにしよう。まずはその実験服みたいな服から、そこの掛けてある服に着替えて出てきてくれ。僕は向こうで待ってるから。」 と言い残すと、すぐ部屋を出ていった。 ハンガーには一枚の真っ白なワンピースが掛けてあった。 (これ、、かな?) ワンピースを手に取ると、初めてなのに着方が全て分かっているようで、不思議でたまらなかった。着替え終わると部屋を出て、足を進めてゆく。  「え、、とっ...。 !?」 (な、、なにこれ) 喉部分に違和感を感じ、喉を擦るが、痛くも痒くも、何かがあるわけでもない。すると... 「あはは。! もしかして、自分の声に驚いたの?あぁ〜。面白い。!」涙ぐみながら大笑いする彼。 「はぁ、、ごめんよ。」なんて言いながらまだ少し笑っている。 「喉が変な感じするだろ?、声帯を振動させて声を出すから、君には少し僕達より変な感じになったかな。?」  (声帯、、まぁ、簡単に言うと喉を使うから、変な感じがするんだろう。) そう自分の中で解釈をすると「そうなんで、、すね。」と少し気持ち悪いが答える。 「無理しなくていいよぉ〜。慣れたら慣れたら。!!」 「はい...。」 パンッ 「と、いうことで。!」 彼が自分の手を叩くので何事かと思うと、 「君が生まれた意味は、僕の世話係としてここで家事などをしてもらう。 あと、、いや。これだけかな。」優しく微笑むとキッチンに足を運ぶ彼。 「君のまず一個目の仕事だよ。 僕の朝食作り。〜」 パチパチ 「ということで、ここにあるパンを君に焼いてもらいます。!」 (焼く、、?  どうやっt...) 「やり方は分かるでしょ。?」優しく微笑むと食卓へ足を運び、椅子に座って静かに待っている彼。 (分かってる、?なんだっけ...。  とりあえずやってみるしか。。)とやってみると、自然に?いや、体が覚えているようで、気が付いた時にはもうパンは焼き終わっていて、どうしたものかと考えようとするが、彼に朝食を持っていくのが先と思い、パンの入ったかごを手に取り、足早に食卓へ持っていく。 「ど、、どうぞ。」 「ん、ありがと。!」 (、、、どうしたらいいのだろう。) 「ん、食べないの? 君の朝食でもあるんだよ?」 「え...」 「ほら早く、冷めてしまうよ?」 「え、、あ。はい」 戸惑いながらも流されるまま。椅子に腰を掛け、パンに手を伸ばす。彼の真似をするようにパンを口へ運び、ザクッと音を立てながら口いっぱいに頬張る。 「!?、、、」 葉に当たるパンの感触と口の中に何かがある感覚があり、どちらも初めての感覚なので、不思議な感覚でいっぱいになる。 「あはは。!また面白い反応をするね。いい、いい。飽きなくていいよ。」 とまた笑う。 「それは、食べるという行為だよ。僕たちはパンや肉、野菜。食べ物を食べて、生命を維持しているんだよ。」 また少し難しい話をするので手に持ったままのパンをじっと見つめる。 「もちろん、動物も一緒だ。」 彼の目線の先には、窓際に止まっている二羽の鳥がいた。 「この子だけじゃない、動物たちは自分に合った食べ物を食べて生命を維持してる。」 「自分たちに合った、、、」 「そう。鳥の殆どは草食。肉とかはあまり食べないんだ。 パンの原材料は麦だから。食べれるよ。」 と、またまた少し難しい話をすると、かごからパンを一つ取り、小さく千切って鳥達にパンを与えている。 (そんなことしたら...) 「大丈夫さ。パンはたくさんある。僕もこんなには食べられない。」 とまた優しく笑うと、またパンを千切って鳥達に与える。  私は、手に持ったままのパンをさっきより一回り小さくパンを噛み、飲み込む。何かが喉を通っていく感覚もまた少し変な感じだ。ため息のような、深呼吸のようなものをして、手を合わせ、「ごちそうさまでした」                        目覚め___2022.8.23
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