初めての夜

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ー夕食前ー  (そろそろ、夕食の時間....マスター。来ません。) 「.....」 ガシャーンガタッ 彼の部屋の方から大きな音がした。何かが倒れた音。 「?? ....マスター?」 部屋を覗くと、椅子から転げ落ちたマスターが居た。 「なにを....しているんですか。?」 「え、あぁ。立とうとしたら椅子に足が引っかかって転けちゃって。」 と言いながら立ち上がり笑う彼。 「そうだったんですね。」 「よし。夕食を作ろうか」 「はい。」 そう言うとキッチンに足を運ぶ。彼は食卓の椅子に座って鳥と触れ合っている。 「このぐらいの時間になるとカラスって鳥が泣き始めるんだ。」 「カラス....?」 「真っ黒い鳥さ。 ほら、夕食を作ってくれ。」 「はい。」 (夕食は何にしよう.....) 「?」 手に取ったのはお米 (ご飯を炊こうかな....。 やっぱり変だ。ご飯の炊き方なんて知らないはずなのに....まぁ、いい。 私が今すべきことは夕飯を作ること。早くしなければ) 「マスターできました。」 「ん、ありがとう」 夕飯を運んだら椅子に腰を掛け、手を合わせ、「いただきます」 「ごちそうさまでしたぁ。!」 元気よく挨拶をして席を立つ彼。 「少し外を見てくるね。明日、朝から仕事が入ってるから今のうちにやっておかなきゃいけないんだ。」 「なぜ見回るのですか。?」 「ここら辺にいる動物たちが居るだろ、?その子達は安全なんだけど最近凶暴化する動物たちが増えてきたんだ。だからさ」 「そうなんですね。」 (あれ、私、こんな話聞いたことないのに何となくだけど話についていけてる。) 「どーしたの、ー?」 彼が私の顔を覗き込む。 「いいえ。何でもありません。」 「そっか。あ、そうそうご飯、食べ終わったらお風呂ためといてね。じゃ」 そう言って笑顔で手を振ったら家を出ていった。  
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