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1.
亡くなった人を復元したい。
太古の昔に、現代に、そしてこれからの未来に。その望みを抱く人は必ず存在する。
願いはシンプルだが絶対に叶わないこの難題に結構真剣に取り組む女性がいた。
妖術や反魂香、マネキンや整形ではない。
京浜地帯の工業団地の一角に位置する機械系企業の研究室で、スマートスピーカーでのアウトプットという実利的な形で故人の声と個性を再現するという試みだった。
この女性、桜庭園美は志願してこの職についたのではない。
望まない辞令でお鉢が回ってきたのだが、滅多に経験することない未知の業務には内心おおいに興味をそそられていた。
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